Mars Securitiesは、中国本土の顧客を対象に新規取引の受け入れを制限する。北京時間15日から新規買いと新規ポジションの構築を停止し、入金や証券の移管受け入れも止める。既存保有分の売却は引き続き認める。
ブロックチェーン関連メディアのCryptopolitanが6日、こう報じた。中国証券当局による域外ブローカーへの取り締まりが、Futu、Tiger、Longbridgeなど主要業者にとどまらず、業界全体に広がりつつあることを示す動きといえる。
中国証券監督管理委員会は5月22日、Futu、Tiger、Longbridgeの3社に対する執行措置に着手した。中国国内で営業許可を得ないまま本土投資家を勧誘したとして、3社に計22億人民元の制裁金を科した。一方、Futuへの制裁金は約2億7100万ドルと推計された。
その後、FutuとTigerは、中国本土の顧客について12日から新規ポジションを開設できなくなると案内した。Mars Securitiesも同様の制限を導入するが、開始日は15日としている。中国証券監督管理委員会が示した猶予期間は2年で、現在のスケジュールでは集中整備期間は2028年5月に終了する見通しだ。
今回注目されるのは、Mars Securitiesが制裁対象に直接含まれていない点だ。同社は顧客向け通知で、今回の措置について「2年間の集中整備期間中の業界規制要求」に基づくものだと説明した。当局が名指ししていない中小ブローカーにも、取引制限の動きが波及している。
Mars Securitiesは、海外株に投資したい中国本土の投資家を主要顧客層としている。顧客数や預かり資産の規模は、上場企業であるFutuやTigerほど開示していない。ただ、今回の決定は、業界全体が長期的な規制監視を前提に事業運営の見直しを進めている流れを映している。
同社は、本土で発生した取引や資金振替指示については、口座種別を問わず制限の対象になると説明した。一方、本土外の既存投資家向けサービスは維持し、顧客資産も安全に保管されるとしている。
市場では規制リスクがすでに株価に織り込まれ始めている。5月22日の発表直後、米国時間の時間外取引でFutuとTigerの親会社Up Fintechの株価はともに30%超下落した。通常取引でもFutuは1日で26%、Tigerは23%下げた。中国インターネット企業に連動するKraneShares CSI China Internet ETFや、Alibabaなど米国上場の中国株も軟調に推移した。
投資家の懸念は株価の下落にとどまらない。Financial Timesが伝えた市場の反応によると、中国の投資家の間では、SpaceXの予定される新規株式公開(IPO)のような将来の投資機会にアクセスできなくなるとの見方が広がっている。域外ブローカーは、米国や香港の株式市場に投資するための主要なルートとして機能してきたためだ。
Futuは、2026年1〜3月期時点で中国本土の入金顧客が全体の約13%を占めると開示している。今回の取り締まりは一部企業への制裁にとどまらず、Stock Connect、Wealth Management Connect、適格国内機関投資家(QDII)制度など、当局が認めたルート以外の海外株投資経路を狭める狙いがあるとの受け止めも強い。今後は、域外投資がこうした公式チャネル中心に再編される可能性が高まっている。
市場の関心は他のブローカーにも移っている。12日と15日の制限開始を前に追加の追随が出れば、中国本土資金の海外株市場への流入構造にも変化が及ぶ公算が大きい。