写真=Strategyのマイケル・セイラー会長とビットコイン(Reve AI)

Strategyがビットコイン(BTC)32枚の売却を開示し、同社を巡る「買い増し一辺倒」との見方に揺らぎが広がっている。売却規模は小さいものの、市場では企業によるビットコイン財務戦略の持続性を改めて見極める動きが出ており、MSTR株は下落した。

Cointelegraphが5日(現地時間)に報じたところによると、今回の売却は、2022年の税務関連取引を除けば、Strategyが明らかにした初のビットコイン売却事例となる。

売却数量そのものは、同社の総保有量からみれば限定的だ。Strategyは現在も数十万枚規模のビットコインを保有している。ただ、市場では同社が売却せず買い増しを続けるとの前提で評価されてきただけに、今回の開示を受けて見方の修正が広がった。

調査会社Delphi Digitalは市場分析レポートで、「Strategyはもはや一方向にビットコインを積み増す純粋な投資企業には見えない」と指摘した。あわせて、「これまでの『絶対に売らない』という物語は崩れた」と評価した。

Strategyは引き続き、1株当たりのビットコイン保有量を増やす方針を掲げている。ただ、今回の取引は、積極的な保有戦略をとる企業であっても、財務上の制約と無縁ではいられないことを示した格好だ。

米国では、暗号資産の市場構造を巡る「クラリティ法案」への対立も強まっている。JPモルガンのジェイミー・ダイモンCEOは、銀行業界として同法案の最新修正案に反対する考えを示し、暗号資産企業が伝統的な金融機関と同等の規制負担を負わないまま優遇を受けていると主張した。

ダイモン氏は特に、暗号資産企業が銀行に課される資本規制やコンプライアンス義務を回避したまま、利回りを伴う商品を提供できるようにする条項を問題視した。法案支持派は、規制の不確実性を和らげてイノベーションを促す枠組みだと位置付ける一方、反対派は競争条件をゆがめる恐れがあるとみている。銀行業界と暗号資産業界の対立は、立法の行方を左右する焦点の一つとなっている。

フランスでは、ビットコインを財務資産として保有するCapitalBが一段と攻勢を強めた。今後のビットコイン購入資金を確保するため、同社は最大50億ユーロの新株発行と、1160億ドル規模の資金調達枠について、株主承認を求めた。議案は17日の株主総会で採決される予定だ。

同社が打ち出した調達規模は、これまでの実績を大きく上回る。CapitalBはこれまでに3億2500万ドルを調達したとしており、この中にはBlockstreamのアダム・バックCEOや資産運用会社TOBAMが参加した資金調達も含まれる。CapitalBは先月、192BTCを1520万ドルで購入し、2日にはさらに4BTCを追加取得して、総保有量を3139BTCに増やした。

ステーブルコインの準備資産を巡っては、新たな投資の動きも出てきた。Coinbaseは、GENIUS法案の下でステーブルコイン準備資産として認められる資産を組み入れる「ProShares GENIUS Money Market ETF」に、金額非開示で出資した。同ファンドは現金、銀行預金、短期米国債に投資する。

GENIUS法案は、決済型ステーブルコインについて、高い流動性を持つ準備資産での裏付けを求めている。発行体の増加に伴い、米国債など短期の流動性資産への需要が拡大する可能性がある。Coinbaseの出資は、連邦レベルでのステーブルコイン規制の整備が近づく中、準備資産そのものが新たな投資対象として注目され始めていることを示している。

今週の暗号資産市場では、企業のビットコイン保有戦略、米国の制度設計、準備資産の運用を巡る論点が一段と鮮明になった。単純な「買って持ち続ける」戦略だけでは語れない局面に入りつつあり、資金調達、規制の方向性、準備資産の運用手法が、次の市場を左右する重要な要素として浮上している。

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