Volkswagenは、欧州で続く内燃機関車両を巡る規制論争よりも、電気自動車(EV)の競争力を高め、消費者への訴求を強めることが重要だとの考えを示した。充電インフラの整備や電力コストへの対応が、今後のEV普及を左右するとの見方だ。
EV専門メディアのInsideEVsが5日(現地時間)に伝えたところによると、Volkswagenで販売・マーケティング・アフターサービスを統括するマルティン・ザンダー氏は、「最終的にはEVの優位性が消費者に浸透していく」と述べた。
ザンダー氏は、欧州で続く内燃機関車両の禁止議論について、馬から自動車への移行になぞらえて説明した。「馬がいつ禁止されたのか、馬の購入がいつ禁じられたのか」と問いかけた上で、「今でも馬は買えるが、移動手段としては自動車の方が便利だと人々が判断した。同じことがEVでも起きる」と語った。
Volkswagenが打ち出すのは、議論の軸を規制から顧客価値へ移す姿勢だ。ザンダー氏は「すべての障壁を取り除くべきだ」とした上で、顧客の選択を後押しするには、充電インフラの拡充、EVの利点の積極的な訴求、エネルギー価格への対応が欠かせないと指摘した。
その上で、時間の経過とともにEVを選ぶ顧客は増えていくとの見通しを示した。
こうした発言の背景には、欧州連合(EU)の2035年に向けた内燃機関車両の販売禁止方針を巡る議論の変化がある。当初は2035年以降、新車の内燃機関車両の販売を禁じる方向だったが、最終的には規制が緩和された。
2030年代半ば以降も、排出ガスを伴う車両の販売は一定条件の下で認められる一方、自動車メーカーには2021年比で二酸化炭素排出量を90%削減することが求められる。このため、一部の内燃機関モデルには限定的ながら存続の余地が残った。
こうした環境を踏まえ、Volkswagenは内燃機関、マイルドハイブリッド、フルハイブリッド、プラグインハイブリッド(PHEV)、EVを併存させる戦略を維持している。電動化への移行に当たり、単一の解に依存せず、複数のパワートレインを並行展開する方針だ。
製品戦略も同じ流れにある。Volkswagenは最近、小型ハッチバックEV「ID.ポロ」を公開した。ID.ポロは、現行世代のガソリン車「ポロ」と併売する予定だ。
また、「ID.4」は大規模な改良を控え、「ID.7」のセダンとワゴンは欧州市場で一定の成果を上げているという。
一方でVolkswagenは、中国で展開しているレンジエクステンダー型EVの技術を欧州に持ち込む計画はないとしている。ザンダー氏は「中国には市場がある。しかし現時点では、ドイツや欧州で大きな機会があるとは見ていない」と述べ、現行ラインアップでも競争に必要な航続距離は確保できているとの認識を示した。
Volkswagenは、欧州で内燃機関車両の即時退場を前提とするのではなく、EV販売の拡大に必要な条件整備を優先する構えだ。充電インフラ、エネルギーコスト、電動化モデルの拡充が、今後の欧州市場戦略の焦点となる。