Microsoftは「Build 2026」で、AIエージェント向けデータ基盤を強化する3つの新機能を発表した。Azure HorizonDBの投入に加え、Fabric Data WarehouseのGPU加速とFabric IQの正式提供を打ち出し、Fabricを軸とした企業向けデータプラットフォームの強化を進める。
Fabric部門CTOのアミール・ネツ氏は、企業向けAIについて「組織の業務や構造を理解した“内部関係者”のように機能すべきだ」と説明した。そのうえで、AIエージェントが信頼性を持って動作するには、組織の記憶に相当する「コンテキストレイヤー」が欠かせないと強調した。
その一環として、MicrosoftはまずAzure HorizonDBを発表した。
The New Stackによると、Azure HorizonDBはPostgreSQL互換のフルマネージドデータベースとして、パブリックプレビューで提供する。最大128TBのストレージ、最大3072仮想コア、サブミリ秒のレイテンシーをサポートする。ベクトル検索やAIモデル管理に対応するほか、Microsoft FoundryとFabricに直接接続できる。
Microsoftはあわせて、Fabric Data WarehouseでNVIDIAのGPUアクセラレーションをサポートする。提供時期は2026年7月のアーリーアクセスプレビューを予定する。社内ベンチマークでは、競合するクラウドデータウェアハウス3社と比べて最大7倍の性能を確認したという。ネツ氏は「データウェアハウスの分野では年間10%の性能改善でも大きいが、GPU加速によって5~100倍の向上が見えている」と述べた。
Fabric IQについては、正式提供を開始した。Fabric IQはPower BIのデータ定義体系を基盤に、顧客、注文、製品といった主要な業務概念とその関係性、処理ルール、リアルタイムのデータシグナルを扱えるようにする。あわせて、AIエージェントの権限や行動範囲も定義する。
Microsoft Foundry、Agent 365、Microsoft 365 Copilot、GitHub Copilot CLIなど同社の主要AI製品とも連携する。これにより、各製品のAIエージェントはFabric IQが持つ企業コンテキストを共有して活用できる。ネツ氏は「過去と現在のデータに将来予測まで加わり、オントロジーがあらゆる時間軸をカバーするようになった」と語った。
The New Stackは、MicrosoftがFabricについて、リアルタイムの運用データと分析データを単一のプラットフォームで処理できる点を前面に打ち出し、主に分析用途に強みを持つSnowflakeやDatabricksとの差別化を図っていると報じた。