サイバーセキュリティ企業のCrowdStrikeは、AIを悪用した脅威の拡大を背景に、企業のセキュリティ投資が今後さらに増えるとの見通しを示した。四半期決算は市場予想を上回り、通期見通しも引き上げた。AIは防御力を高める一方で攻撃側の能力も押し上げており、これが需要拡大につながっているという。
CNBCが4日(現地時間)に報じたところでは、同社のジョージ・カーツCEOは決算発表後のインタビューで、AI関連のサイバー脅威に対する企業の警戒感が強まっており、この流れは今後数四半期にわたり実質的な売上成長に結び付くとの見方を示した。
決算説明では、AIセキュリティ需要が想定ほど早く業績に反映されていないのではないかとの見方も出た。とりわけ、AIセキュリティ上の脅威シナリオとして注目を集める「Mithos」が話題となる一方、第1四半期業績にその影響がなぜ直ちに表れていないのかが論点となった。
これに対しカーツCEOは、期待が先行しすぎている面があると説明した。「Mithosが登場したのは4月中旬で、当社の会計四半期は4月末に終わった」としたうえで、「当社はパッケージ製品を売る会社ではなく、エンタープライズ向けソフトウェアを提供している。契約締結から導入、運用までには一定の時間がかかる」と述べた。
好決算と通期見通しの引き上げにもかかわらず、株価は時間外取引で約4%下落した。投資家が、AIセキュリティ需要の拡大が短期業績にどの程度のスピードで反映されるのかを慎重に見極めているためとみられる。
一方、同社は通期ベースでの成長には自信を示している。通期のNet New ARR見通しは、従来予想から5000万ドル(約75億円)超引き上げた。ARRはサブスクリプション型ソフトウェア企業の将来売上を測る主要指標の一つだ。
カーツCEOは「市場機会を明確に捉えている。だからこそ見通しを引き上げることができた」と述べ、「顧客が最終的に選ぶのはCrowdStrikeだ」と強調した。
AIセキュリティ関連の需要指標も大きく伸びている。同社によると、AI Detection and Responseプラットフォームの第2四半期の営業パイプラインは、すでに5000万ドル(約75億円)を超え、前四半期比で約250%増となった。
カーツCEOは、企業が全社的にAI導入を進めるほど、求められるセキュリティ水準も高まると説明した。「顧客はより多くのAIを活用したいと考えているが、その活用を広げるには、それに見合う強力なセキュリティが必要になる」と語った。
さらに、AIは防御能力を高めるだけでなく、攻撃者の能力も引き上げていると指摘した。「AIはより巧妙な攻撃者を生み出している。結果として、CrowdStrikeのようなセキュリティ企業にとっては強力な成長エンジンになる」と述べた。
業界では、AI導入の拡大に伴ってセキュリティ予算も増える構図が鮮明になりつつある。エンタープライズ向けセキュリティソフトは、導入判断から本格運用までに時間を要する。このため、AI脅威への懸念が業績に本格的に反映されるのは今後数四半期にわたる可能性が高い。
今回の決算で注目すべき点は、AIセキュリティ需要が足元の売上にどこまで反映されたかではなく、CrowdStrikeがそれを根拠に通期の成長見通しを引き上げたことにある。