Airbnbのブライアン・チェスキー最高経営責任者(CEO)が、新たなAI研究所の設立を支援する計画だ。TechCrunchが6月4日(現地時間)に報じた。チェスキー氏はAirbnbのCEO職を続ける一方、研究所の運営には直接関与しない見通しという。
今回の動きは、これまでAI業界で助言役として知られてきたチェスキー氏が、さらに一歩踏み込む形となる。シリコンバレーではチェスキー氏について、大手AI研究所が投入してきたモデルに必ずしも満足していない人物の一人とみられている。
AirbnbはすでにAIコーディングツールを導入している。一方、チェスキー氏は昨年、既存の製品は「まだ十分に整っていない」との判断から、大規模言語モデル(LLM)を巡る提携を見送ったと明らかにしていた。
新研究所の具体的な方向性は明らかになっていない。ただ、ユーザーとの接点やデザインを重視した取り組みになる可能性がある。こうした領域は、チェスキー氏がAirbnbでも一貫して重視してきたテーマだ。
単純にモデル性能の競争に参入するのではなく、AIサービスを実際の利用体験の側から再設計する試みになるとの見方も出ている。
チェスキー氏はOpenAIとも長年にわたって関係を築いてきた。2006年にY Combinatorを通じてサム・アルトマン氏と知り合い、その後も関係を保ってきたとされる。
OpenAIの急成長後は、アルトマン氏と定期的に会い、急拡大するテクノロジー企業の運営について助言してきたという。
OpenAIの取締役会が、アルトマン氏を「十分に率直でなかった」として解任した際には、チェスキー氏が復帰に向けたプロセスで一定の役割を果たした人物として取り沙汰された。アルトマン氏の対外コミュニケーションを助言し、シリコンバレーの有力者からの支持集めにも関わったと報じられている。
一時はOpenAI取締役候補としても名前が挙がったチェスキー氏だが、今後はアルトマン氏の会社と競合関係に入る可能性も浮上している。
もっとも、チェスキー氏が新組織の前面に立つ可能性は高くない。研究所でいわゆる「創業者モード」に戻るわけではなく、AirbnbのCEO職も継続する。
このため、研究所の実務を担うリーダーには、既存のAI研究所と競いながら、細部に強いこだわりを持つとされるチェスキー氏との連携を図る役割が求められそうだ。
市場では、新研究所がAirbnbの本業とどこまで結び付くのかにも関心が集まっている。AirbnbはなおLLMの提携先を決めておらず、チェスキー氏も既存製品では不十分との見方を示してきた。
研究所が独立組織として立ち上がれば、外部AIモデルの採用に代わり、ユーザー体験を軸にした独自の技術開発を検証する拠点となる可能性がある。
Airbnbおよびチェスキー氏側は、今回の計画について公式コメントを出していない。研究所の役割やリーダーシップ、Airbnbとの関係の詳細は、今後明らかになるとみられる。