ビットコインは直近10日間で約21%下落し、約4カ月ぶりに6万1000ドル近辺まで下値を試した。市場では、Strategyが転換社債の一部を買い戻し、ビットコインの購入をいったん止めたことが需給悪化への警戒を強める要因になっている。
Cointelegraphが4日(現地時間)に報じたところによると、同社の購入停止を受け、一部のトレーダーの間では保有ビットコインの売却可能性も意識され始めた。
今回の下落局面で焦点となっているのは、価格調整そのものよりも、市場を支えてきた最大級の買い手であるStrategyの資金余力が細っている点だ。Strategyは3月以降、約93億1000万ドルを投じて12万6016BTCを買い増してきた。
一方で同社は最近、株式発行で調達した資金のうち13億8000万ドルを転換社債の一部買い戻しに充てた。
STRCは、株価が100ドルに達した場合に新株発行が可能となる仕組みの優先株で、保有者には現在、年11.5%の変動配当を毎月現金で支払っている。
もっとも、市場がその価格水準を受け入れなくなれば、新規投資家はより低い価格での参加を求めることになり、結果としてより高い配当利回りが必要になる。資金調達コストが重くなる構図だ。ただ、この変化だけでStrategyに対するリスク認識が急変するわけではないとの見方もある。
Strategyは2026年1〜5月に優先株の発行で75億ドルを調達した。この資金はビットコイン相場の下支えに寄与してきた。
ただ、手元現金は9億ドルまで減少しており、現在の水準では優先株配当を賄える期間は約6カ月にとどまるという。
市場が注視する主要な財務指標の1つが純レバレッジ11%だ。保有資産に対する負債の大きさを示す指標で、Strategyが保有するビットコインは、価格が3万ドルまで下落しても負債を十分にカバーできる水準とみられている。
短期の流動性は悪化しているものの、転換社債の契約には、保有ビットコインの強制売却を求める下限条項はない。
このため、現時点でStrategyがビットコインの強制売却に追い込まれる状況にはないとの分析が出ている。仮に負債市場の活用が難しくなった場合でも、既存のMSTR株主の持ち分を希薄化する形で対応する可能性があるという。
こうした対応はMSTRやSTRCの価格に追加の下押し圧力を与える可能性はあるが、同社のレバレッジ比率そのものを揺るがす問題ではないとの見方だ。
一方で市場では、実際の売却よりも「売却の可能性」自体が、より大きな重荷になり得るとの警戒も出ている。X(旧Twitter)利用者で「Grand Line」ニュースレター著者のzeroxkyleは、Strategyが最終的にビットコインを売却すれば、価格下落が加速し、市場流動性も悪化しかねないと指摘した。
大口の売り手がいつでも市場に出てくるとの見方が広がれば、買い手は新規ポジションの構築を先送りし、悪循環につながる可能性があるという。
もっとも、Strategyが目先で強制売却リスクに直面しているわけではない。優先株の配当は必要に応じて停止でき、未払い分は後に累積される仕組みだ。
その半面、STRCが100ドルを下回って推移し、現物ETFからの純流出が続く限り、ビットコインが7万ドルを再び回復するのは容易ではないとの見方が強い。
市場の関心は、Strategyが直ちにビットコインを売るかどうかよりも、資金調達構造の安定を取り戻せるかどうかに移っている。今後のビットコイン相場は、同社の購入再開の可否と、現物ETFの需給動向に引き続き敏感に反応しそうだ。