ビットコイン(写真=Shutterstock)

ビットコインは6月に入り13%下落し、2月以降で最大の週間下落となっている。相場を支えてきた材料が弱まるなか、ビットコイン現物ETFからの資金流出が過去最長を更新。規制を巡る期待の後退に加え、Strategyの売却公表も投資家心理を冷やし、資金の一部は半導体やAI関連株に向かっている。

米CNBCは4日(現地時間)、こうした動きを報じた。足元の下落局面では、ビットコイン相場を支えてきた主な材料がいずれも勢いを欠いている。

市場で重石となっているのが、ビットコイン現物ETFの資金動向だ。SosoValueによると、ビットコイン現物ETFは4日まで13営業日連続の純流出となり、過去最長を更新した。

ETF全体の運用資産残高も、5月14日の1078億ドル(約15兆6000億円)から828億ドル(約12兆円)に縮小した。Citiのアナリスト、アレックス・ソンダース氏は、ETFの資金フローがビットコイン上昇の主要な変数だと指摘。週間リターンの変動の約45%を説明するとし、投資家需要や普及度合いを測るうえでも有力な指標だと位置付けた。

規制・政策を巡る期待の後退も相場の重荷だ。ソンダース氏は、市場構造法案「CLARITY法案(CLARITY)」について、立法上の優先順位の変化や主要条項を巡る見解の相違から、成立の可能性はいっそう遠のいているとの見方を示した。規制面での追い風や、財政不安に伴う通貨価値の毀損懸念がない限り、市場心理の低迷は続くとみている。

今週の下落の直接的なきっかけとなったのは、マイケル・セイラー氏率いるStrategyが2日、32BTCを約250万ドル(約3億6000万円)で売却したと公表したことだ。2022年以降で初めての売却で、同社としても過去2回目に当たる。売却規模は保有ビットコインの0.004%未満にとどまったが、「ビットコインは売らない」としてきた従来方針とのずれが意識され、投資心理を揺さぶった。

その後はレバレッジをかけたロングポジションの清算が下げを加速させた。CoinGlassによると、暗号資産取引所で24時間に清算されたロングポジションは5億9400万ドル(約860億円)に達した。

投資マネーの向かう先も変わりつつある。足元のビットコインは、地政学リスク局面での「デジタルゴールド」、インフレヘッジ、テック株連動といった従来のストーリーのいずれからも追い風を得られていない。一方、株式市場は過去最高値圏で推移しており、投資家の関心は半導体ラリーやAIインフラ関連に移っている。SpaceXやAnthropicといった未上場の成長企業にも資金の関心が集まった。

市場の焦点は、来週予定されるStrategyの開示に移っている。投資家は、同社が今週ビットコインを買い戻したのか、追加で売却したのか、あるいは動かなかったのかを見極めることになる。先週の小規模売却後に積極的な買いに転じていれば相場安定要因となり得るが、売却継続や静観であれば、暗号資産市場の主要な需要先の一つが弱まったとの懸念が強まりかねない。

Standard Charteredのジェフ・ケンドリック氏は、Strategyが過去にビットコインを売却した後、2日以内にそれを上回る数量を買い戻した例があると指摘した。今回は売却後の買いがさらに積極化する可能性もあるとし、そのシナリオが現実となれば、市場では底打ちの初期シグナルとして受け止められる可能性があると述べた。

一方で、中長期的には弱気局面が続く可能性も指摘されている。ギンズバーグ氏は、ビットコインが足元では中核的な材料から切り離されて動いている一方、4年サイクルはなお有効な基準だと分析。過去の高値から底打ちまでの平均的な期間と下落率を当てはめると、10月末に4万ドル(約600万円)を下回る水準で底を付ける可能性があるとし、現在の想定レンジから大きく外れてはいないとの見方を示した。

今回の調整は、ビットコイン相場が単純なリスク選好だけでは動かないことを改めて示した。ETFの資金フロー、規制期待、Strategyの売買動向が同時に揺らぎ、暗号資産市場の需給構造の脆さが改めて浮き彫りになっている。

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