Intelの次世代ノートPC向けプロセッサを巡り、発売初期から供給難が指摘されている。自社の最先端プロセス「18A」を採用する初の主力製品群と位置付けられており、Intelの製造競争力回復戦略の成否を占う試金石として注目を集めている。
GIGAZINEは3日(現地時間)に、新型モバイルプロセッサ「Core Ultraシリーズ3(Panther Lake)」と「Coreシリーズ3(Wildcat Lake)」の供給が順調ではないと報じた。
Panther Lakeは今年1月、Wildcat Lakeは4月に発表された。いずれも18Aプロセスを採用しており、Intelは設計と生産を一体で担う強みを示す中核製品として位置付けてきた。
一方、業界では実際の供給が需要に追いついていないとの見方が出ている。テクノロジージャーナリストのティム・カルパンは、大手PCメーカー3社の関係者から、両製品の供給不足について話を聞いたと明らかにした。
一部の中小PCメーカーでは、顧客の注文を受ける前にプロセッサを確保できるか確認しているという。Intelが市場需要に見合う数量を十分に供給できていない可能性をうかがわせる。
Intelも、供給面で一部課題があることを認めている。Intelで総括マネジャーを務めるアレックス・カトゥジアンは2日、関連する問い合わせに対し、「一定の供給不足はあるが、克服しつつある」と述べた。
今回の供給問題は、Intelの生産戦略とも密接に関わる。競合のAMDやNVIDIAが設計に特化し、生産をTSMCに委託するファブレスモデルを採用するのに対し、Intelは設計から生産まで自社で担うIDMモデルを競争力の源泉としてきた。
ただ、近年は微細化の遅れに苦しみ、一部製品の生産をTSMCに依存してきた。2023年発売のMeteor Lakeや、2024年のLunar Lake、Arrow Lakeといった主要モバイルプロセッサでも、生産の一部をTSMCに委託している。
そのため、Panther LakeとWildcat Lakeは、Intelの自社生産回帰を象徴する製品と受け止められてきた。業界では、今回の供給難を巡る議論が、18Aプロセスの歩留まりと量産安定性を見極める最初の試金石になるとの見方が出ている。
もっとも、供給問題の原因がIntelの製造工程だけにあるとは限らないとの指摘もある。ティム・カルパンは、当該プロセッサに含まれる一部のI/OチップがTSMCで生産されていると説明した。Intelの内製能力だけでなく、協力会社を含めたサプライチェーン全体の管理が影響している可能性がある。
一方でIntelは、外部顧客向けファウンドリー事業の拡大も急いでいる。4月には、イーロン・マスク氏が率いるTeslaのAIチッププロジェクト「Terafab」に参加し、次世代14AプロセスベースのAIチップ生産契約を締結したと発表した。
業界では、Intelが自社の最新プロセッサを安定供給できるかどうかが、今後のファウンドリー事業拡大と製造競争力回復戦略の信頼性を測る重要な指標になるとみられている。