写真=Bitdeer

暗号資産マイニング大手のBitdeerは、5月29日までの1週間に採掘したビットコイン206.2BTCを全量売却し、週末時点の保有残高ゼロを14週連続で維持した。売却で得た資金は、AIクラウドやデータセンター、次世代ASICの開発に充てている。

ブロックチェーンメディアのCryptopolitanによると、今回の保有残高には顧客からの預かり分は含まれていない。BitdeerもXへの週次更新で、純保有分ベースのBTC保有残高がゼロであることを示した。

同社は2月末以降、ビットコインを自社で保有しない財務方針を続けている。年初時点では約2000BTCを保有していたが、その後8週間で手元の保有分をすべて売却した。最後の売却週には、通常の採掘分に加えて943.1BTCの準備金も処分している。

Bitdeerは当時、売却の理由について、ビットコイン相場に弱気だからではなく、インフラ投資に伴う流動性の確保が目的だと説明していた。その後も方針は変わらず、毎週の採掘分を売却し、週末時点の保有残高ゼロを維持している。

こうした対応は、大手マイニング企業の中では異例と受け止められている。Bitdeerは今年、自社ハッシュレートを63.2EH/sまで引き上げ、4月単月では783BTCを採掘したが、この分も全量を売却した。

一方、競合各社は保有戦略を維持している。Bitcoin Magazineの集計によると、Mara Holdingsの保有量は約5万3250BTC、Riot Platformsは約1万8000BTC、Strategyは71万7000BTC超に達する。採掘企業でありながら保有を積み上げないBitdeerと、市場で買い増しを続ける企業群との違いが鮮明になっている。

Bitdeerは、確保した資金を他事業の拡大に振り向けている。同社は今年、転換社債で3億2500万ドル、株式発行で4350万ドルを調達した。資金使途はデータセンター開発、次世代ASICの開発、AIクラウドサービスの拡大だ。ノルウェーのTydal施設はAIデータセンターとして開発を進めており、AIクラウドサービスの売上高は年換算で6900万ドルを超えた。

業績面では、売上高が大きく伸びる一方で赤字が続いている。2026年1〜3月期の売上高は1億8890万ドルで、前年同期比約170%増だったが、純損失は1億5950万ドルだった。Bitcoin Magazineによると、2025年10〜12月期の売上総利益率(GPM)は4.7%と、前年の7.4%から低下した。

ビットコイン相場を取り巻く環境も厳しい。ビットコイン価格は年初来で約16%下落し、暗号資産の恐怖・強欲指数は33と「恐怖」水準に入った。こうした局面でBitdeerが売却を続けていることは、市場の売り圧力を強める要因としても意識されている。

マイニング企業がビットコインを長期保有資産として積み上げる従来の戦略に対し、Bitdeerは異なる道を選んだ形だ。相場の軟調さと投資負担が続く中、保有を持たない現金化戦略が成長投資を支えるのか、それとも将来的な機会損失につながるのかが注目点となる。

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