米国の4月の個人消費支出(PCE)物価指数が高い伸びを維持し、米連邦準備制度理事会(Fed)の利下げ観測が後退した。これを受けてビットコイン(BTC)は下落し、CMEのFedWatchでは6月会合で政策金利を据え置く確率が98.9%に達した。
ブロックチェーンメディアのBeInCryptoによると、4月PCEは前年比3.8%上昇し、2023年5月以来の高水準となった。指標公表後、ビットコインは7万3300ドル台まで下落した。
市場予想とは一致したものの、Fedが目標とする2%をなお大きく上回った。食品とエネルギーを除くコアPCEも前年比3.3%上昇と予想通りだったが、こちらも2023年10月以来の高い伸びとなった。
前月比ではやや落ち着きもみられた。コアPCEは4月に0.2%上昇し、市場予想の0.3%を下回った。一方で前年比ではインフレ圧力の強さが続いており、市場はFedが高金利政策を長く維持する可能性を意識した。
同日に公表された米経済指標は強弱が入り交じった。個人所得は前月比横ばいで、市場予想の0.4%増を下回った一方、個人消費支出は0.5%増加した。新規失業保険申請件数は21万5000件と、予想の21万1000件を小幅に上回った。1〜3月期の実質GDP成長率速報値は1.6%となり、市場予想の2.0%を下回った。
暗号資産市場は物価指標そのものよりも、今後の金利見通しへの影響に敏感に反応した。ビットコインは指標公表後、24時間ベースで2.89%下落し、7万3404ドル近辺で推移した。時価総額は約1兆4700億ドルだった。動きとしては、クリストファー・ウォラーFed理事のタカ派発言後にみられた調整局面と似ている。
金利見通しの重さも相場の上値を抑えた。CMEのFedWatchによると、6月17日のFed会合で政策金利を3.50〜3.75%のレンジで据え置く確率は98.9%に織り込まれた。0.25ポイントの利下げ確率は1.1%にとどまった。市場はここ数週間、高金利の長期化を織り込んできたが、今回の指標でその見方が改めて意識された格好だ。
市場分析会社Kobeissi Letterは、今回の結果を金融緩和期待に逆風となるシグナルと受け止めた。「4月のPCEインフレ率は3.8%で2023年5月以来の高水準、コアPCEは3.3%で2023年10月以来の高水準だった」としたうえで、「Fedの主要な物価指標は目標のほぼ2倍だ」と指摘した。
一方、Allianzのチーフ経済アドバイザー、モハメド・エル・エリアン氏は、個別の数値よりも指標全体の組み合わせを重視した。「今回の米経済指標はおおむね市場予想に沿う内容だった」と述べ、「この程度の結果で市場の基本シナリオや現在の相場水準が大きく変わることはない」との見方を示した。
市場では、年内の利下げ幅は限定的になるとの見方が広がっている。米国債利回りの上昇とドル高は、足元でビットコインと金の需要をともに圧迫している。ビットコインのように利息を生まない資産は、金利が高止まりする局面では相対的に不利になりやすいためだ。
今後の焦点は、次回の雇用統計と5月の消費者物価指数(CPI)に移る。年後半の金利見通しは、今後公表される物価・雇用指標を受けて再調整される可能性がある。4月PCEがインフレ鈍化の兆しか、それとも粘着的な物価上昇の継続を示すのかは、今後の指標が左右しそうだ。
参考までに、この日公表された主な米指標は、新規失業保険申請件数が21万5000件(予想21万1000件)、1〜3月期GDP速報値がプラス1.6%(予想プラス2.0%)、4月PCE価格指数は前月比プラス0.4%(予想プラス0.5%)、前年比プラス3.8%(予想プラス3.8%)だった。