正体不明の主体が、12年以上保有していた107BTCをバーンアドレスに送金し、永久に回収できない状態になった。時価は約850万ドル(約12億7500万円)に上り、市場では税務処理や誤送金など複数の可能性が取り沙汰されている。Cointelegraphが28日(現地時間)に報じた。
オンチェーンデータによると、26日に5つのビットコインアドレスから、「11111」で始まる古いバーンアドレスに計107BTCが送金された。このアドレスに移されたビットコインは、秘密鍵が存在しないか実質的に利用できないとみられ、回収は不可能とされる。
これにより、このバーンアドレスに送られた累計額は807BTCに増えた。Arkhamの試算では、その評価額は5900万ドル(約88億5000万円)に達する。
今回の送金が注目を集めているのは、保有期間の長さと含み益の大きさにある。バーンされたビットコインの大半は約12年前、価格が600ドルを下回っていた時期に取得されたとみられる。TradingViewのデータによると、当時からの上昇率は12万7000%に及ぶ。
2026年に報告された事例の中でも、今回のケースは比較的大規模なビットコインのバーンに当たる。
ビットコインには、EthereumやBinance Coin(BNB)のような標準的なバーン機能はない。このため流通量を減らすには、回収不能なアドレスへ送金する手法が事実上唯一の方法とされている。
ブロックチェーン上には記録が残る一方、秘密鍵がなければ資金は戻せない。このアドレスは過去にも、Stacksが2015年9月にネームスペース登録のため40BTCをバーンした際など、「プルーフ・オブ・バーン」の用途で使われたことがある。
今回のバーンを巡っては、複数の仮説が浮上している。Galaxy Researchは、税務上の損失処理を目的とした可能性のほか、不正活動に関連する資金を処理する目的だった可能性もあるとみている。
もっとも、過去のハッキングやサイバー攻撃との明確な関連は確認されていない。AIエージェントが誤ったアドレスに送金した可能性も指摘されている。
Bloombergのアナリスト、エリック・バルチュナス氏は、AIエージェント、誘拐、税務関連の可能性に言及した。Coinbaseの最高製品責任者(CPO)コナー・グロガン氏は、「取引所がコールドウォレットへの移転を誤って処理した可能性が最も高い」との見方を示した。
市場の関心は、バーンされた数量そのものよりも、誰が何の目的でこの取引を実行したのかに集まっている。長期保有されていた大口のビットコインが、事前の兆候もなく永久に失われたことで、取引所内の移転ミス、税務目的の処理、不正資金の整理など、複数の可能性が同時に取り沙汰されている。
一方で、現時点では資金の出所や実際の意図を特定できる決定的な手掛かりは確認されていない。
今回の事例は、ビットコインに標準のバーン機能がなくても、アドレス構造を通じて事実上の永久廃棄が可能であることを改めて示した。同時に、大口資金が消失したにもかかわらず背景を特定できない点から、オンチェーン追跡の限界も浮き彫りになっている。