中国のChery AutomobileやBYD、日本のオートバックスセブンなどが参画する合弁会社EMTは、新EVブランド「EMTA」を立ち上げた。第1弾となる軽EVを2027年に日本市場へ投入し、軽自動車分野での電動化需要の取り込みを狙う。
EVメディアのElectrekによると、EMTは日中5社による合弁会社で、新ブランドEMTAを通じて日本の軽市場に参入する計画を明らかにした。
日本の軽市場は依然としてガソリン車が主流だ。新車販売の約3分の1を軽自動車が占める一方、主力はHondaの「N-BOX」など内燃機関車となっている。こうした中、BYDが電動軽「Racco」を公開し、EMTAも参入方針を示したことで、軽市場でも電動化の動きが加速する可能性が出てきた。
EMTAについて同社は、「Easy, Made To All」の頭文字を取った名称だと説明する。日本の狭い道路事情と、長距離移動時の航続距離不安の双方を意識した設計を特徴に掲げる。EMTのCEO、ホ・シャオチン氏は、第1弾モデルを2027年に発売し、2029年までに車種数を4モデルへ拡大する方針を示した。
差別化の柱として打ち出すのが、中国のEV技術と日本市場への理解を組み合わせた点だ。同社はこれを「Daily Magic」というコンセプトで表現し、従来の軽とは異なる使用体験を訴求する。ソフトウェア定義車両(SDV)である「Magic SDV」を基盤とし、無線によるソフトウェア更新(OTA)に対応。機能や性能を継続的に改善できるとしている。
スマートフォン連携機能「Magic Sync」の搭載も予定する。EMTは、軽EV専用プラットフォームに最新のeアクスル技術を採用し、静粛性や加速性能、実用航続距離、急速充電性能を確保したとしている。ただ、電池容量や一充電走行距離などの具体的な仕様は公表していない。
先進運転支援システム(ADAS)も主要な訴求点の一つだ。「Magic Drive」はエンドツーエンド方式のレベル2運転支援システムと位置付けており、軽自動車市場で最高水準を目指すとしている。あわせて、日本の軽規格に対応したEV専用ボディ構造を新たに開発した点も強調した。
業界では、日本の軽市場がなお電動化の初期段階にあることに注目が集まっている。価格競争力を備えた軽EVが本格投入されれば、市場構図が大きく変わる可能性があるためだ。BYDやEMTAなど中国勢の動きが相次ぐなか、日本メーカーの対応にも関心が高まりそうだ。
EMTAは、第1弾モデルの価格について既存のガソリン軽と同程度を目指す方向性を示している。ただ、実際の販売価格や詳細仕様は明らかにしていない。価格と維持費に敏感な軽市場だけに、今後の価格競争力が普及拡大のカギを握りそうだ。