Paul Graham氏。写真=Shutterstock

Y Combinator共同創業者で著名投資家のPaul Graham氏が、起業家によるAI代筆の営業メールを厳しく批判した。本人名義で送られていても、実際にはAIが書いたと分かる文面は信頼を損ない、最後まで読まないとしている。

BeInCryptoによると、Graham氏は26日、X(旧Twitter)への投稿で、AIが作成したメールは文体ですぐ見分けがつくと指摘した。大規模言語モデル(LLM)の普及後、起業家が本来は使わなかったような、不自然に整った記事調の文体がメールに現れるようになったという。

同氏は、問題は件名や提案内容ではなく、文章そのものにあると説明した。整いすぎた文面は、起業家本人が自ら書いた文章には見えないとし、文章の出来不出来よりも「誰が書いたのか」が重要だとの見方を示した。

その上で、本人の名前で署名されていても、実際の文面をAIが作っているのであれば、それは単なる効率化ではなく、受け手をミスリードする行為に近いと批判した。

Graham氏は「人の名前で署名されていても、AIが書いたメールを最後まで読んだことはない。だまされたように感じるし、それを受け入れる人がいるだろうか」と述べた。

また、AI代筆が起業家の生産性向上につながるとの見方にも否定的だ。AIに文章を書かせることは、自力でコミュニケーションする力が不足しているというシグナルになりかねず、相手に誤った印象を与える可能性があるとした。

さらに、AIに文章作成を任せること自体が、資源をうまく使う能力の証明にはならないとし、「この程度のことは10代でもできる」と語った。

一方で、Graham氏はAI活用そのものを否定しているわけではない。過去に、AIがY Combinatorのスタートアップの成長を加速させると述べたこととの整合性を問う声に対しては、AIも他の技術と同様、使い方が重要だと応じた。

今回の発言は、生成AIによるコンテンツが業務メールや各種メッセージに急速に広がる中で注目を集めている。自動生成の定型表現があふれるほど、投資家や受け手は文章の巧拙よりも中身や具体性を重視し、「誰が直接書いたのか」が信頼を左右する要素になりつつあるためだ。

業界では、AIを下書きや文章整理の補助に使うことと、作成主体を伏せたまま完成文として送ることは分けて考えるべきだとの見方も強まっている。生成AIの普及が進むほど、文章の完成度以上に、メッセージの真実味や当事者性が問われるということだ。

Graham氏は、AIを業務ツールとして使うことと、人の声の代わりに関係構築の最初の接点をAIに担わせることは別だとみている。投資家や顧客を説得する立場の起業家には、技術を使いこなす力だけでなく、自ら説明し責任を負う力も求められている。

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