Ethereum Foundationが保有ETHの売却を抑える方針を示したものの、ETH相場の反発は限定的にとどまった。暗号資産市場全体でリスク回避姿勢が強まる中、現物・先物の買いが入っても売り注文と供給に吸収され、上値の重い展開が続いている。
ブロックチェーンメディアのThe Crypto Basicが25日付で報じたところによると、ETHは共同創業者のビタリック・ブテリン氏の発信後も、市場全体の調整局面の影響を受け、大きく持ち直すには至らなかった。
市場情報プラットフォームのSantimentは、ブテリン氏に関連するキーワードを巡る投資家心理について、発表直後は約76%が強気寄りだったと指摘した。ただ、その期待は相場の明確な上昇にはつながらなかった。
ETHは週末に付けた2020ドル近辺の安値から約5%反発した後、2115ドル前後で上値を抑えられた。直近2週間ではなお約9%下落している。
今回の発表は、Ethereum Foundationが進める財務運営の見直しの一環と位置付けられる。ブテリン氏はSNSで、財団運営の効率化に向けて転換を進める考えを示した。
その中で、財団が保有するETHの売却を減らし、活動の裾野を広げることよりも長期的な持続可能性を優先する方針を説明した。
もっとも、Ethereum Foundationの保有量そのものは、ETH総供給量に占める割合として大きくない。Santimentによると、同財団の保有ETHは総供給量の0.16%にとどまり、類似の財団と比べても低水準だという。市場は売却縮小の方針そのものよりも、全体のリスク回避の流れに強く反応した形だ。
足元の相場軟調は、ビットコインの調整とも連動している。ビットコインは8万2000ドル超の水準から7万5000ドル台まで下落し、その後は市場全体で様子見が強まった。ETHもこの流れから抜け出せていない。
Ethereum Foundationは今月初め、BitMineに1万ETHを相対取引(OTC)で売却した。平均売却価格は1ETH当たり2292ドルで、運営資金として約2290万ドル(約34億3500万円)相当のステーブルコインを確保したという。
ただ、今後は売却の頻度と規模を抑える方向で方針を定めたとしている。
財団内部の組織再編も進んでいる。Ethereum Foundationは、検閲耐性、オープンソース開発、プライバシー、セキュリティをより重視する2026年3月に向けての運営方針に沿って、体制の見直しを進めている。
あわせて、ブテリン氏個人を含む特定人物への権限集中を抑えるため、理事会の拡大も進めている。転換作業は、バスティアン・アウエ暫定共同事務総長やアヤ・ミヤグチ氏らが主導している。
一方で、2026年に入ってから少なくとも8人のシニア研究員が財団を離れ、「小さな船」モデルの再編が正念場を迎えている。
価格低迷の直接要因としては、需給構造の重さも挙げられる。CryptoQuantのアナリスト、カルメロ・アレマン氏は、ETHが11日以降に下落トレンド入りし、23日までに2375ドルから2031ドルへ下落、下落率は約14.5%に達したと分析した。
同氏は、問題の核心は買い手不在ではなく、積極的な買いが入っても相場が下げ続けている点にあると指摘した。
現物市場の取引量も重荷となっている。現物取引量は12日間で47万770ETHから25万6963ETHへと45.4%減少した。
アレマン氏は、こうした取引量の縮小によって、積極的な買いが入っても価格を持続的に押し上げにくくなっているとの見方を示した。
デリバティブ市場のデータも同様の傾向を示している。市場では現物と先物の双方で買いが入っているものの、指値の売り注文と市場に出ている供給がそれを吸収しているという。
アレマン氏は、ETHが下げるのは価格を支える需要以上に売り供給が多いためだと説明した。Ethereum Foundationの売却縮小方針が短期の相場を押し上げるには、市場全体の取引回復と売り圧力の緩和があわせて確認される必要があるとみている。