写真=NVIDIAのジェンスン・フアンCEO(中央、COMPUTEX 2025共同取材団)

6月2日から5日まで台湾・台北で開かれる「COMPUTEX 2026」では、AIが主役となる一方、次世代AI加速器向け高帯域幅メモリー「HBM4」の確保競争と、DRAM・NAND価格の先行きが大きな関心を集めている。主催者は公式テーマに「AI Together」を掲げ、1,500社が6,000ブースを展開。AIコンピューティング、ロボティクス、次世代技術の3分野を前面に打ち出す。

今年の基調講演は、AI需要の強弱を見極める場としても注目されている。6月1日午前11時には、NVIDIAのジェンスン・フアンCEOが台北ミュージックセンターで単独講演を行う。NVIDIAは、エネルギーからアプリケーションまでを網羅する「Five-Layer Cake」アプローチを示す予定だ。

講演では、次世代GPU「Rubin」のエコシステムに加え、Physical AIやAgenticシステムが主要テーマになる見通し。同日午後2時には、Qualcommのクリスティアーノ・アモンCEOが開幕基調講演に登壇し、SnapdragonベースのAI PCプラットフォームやエッジコンピューティング構想を説明する。

6月2日午前10時30分には、Marvellのマット・マーフィー会長兼CEOが講演する。主催者のTAITRAは、このセッションにフアンCEOもサプライズ登壇すると明らかにしている。テーマは「The Future of AI Depends on Connectivity」。TAITRAによると、両社が3月に発表したパートナーシップを踏まえ、次世代AIインフラ開発で顧客により大きな選択肢と柔軟性を提供する方策を議論するという。

同日午後1時30分には、Intelのリップブ・タンCEOが基調講演を行う。一般登録は早期に締め切られており、関心の高さがうかがえる。講演では、データセンター向け「Xeon 6」と、次世代AI PC向け「Core Ultraシリーズ3(Nova Lake)」を前面に押し出す見込みだ。

最大のメモリー需要家として市場の視線を集めるのはNVIDIAだ。ユアンタ証券によると、NVIDIAの会計年度2027年第1四半期(FY1Q27)の売上高は816億ドルで、前年同期比85.2%増。うちデータセンター部門は752億ドル、AIクラウドインフラ(ACIE)は374億ドルで、前四半期比31.1%増だった。

ユアンタ証券は、AIネイティブクラウドとSovereign AIの急成長が四半期ベースの伸びをけん引したと分析する。COMPUTEX期間中に示されるRubinエコシステムのロードマップは、HBM4の需要規模を占う重要材料になるとの見方だ。

供給面でも強気の見通しが出ている。新韓投資証券は、2026年のDRAM需要増加率を23.6%、NANDを18.1%と予測し、いずれも供給増加率をそれぞれ2.1ポイント、4.7ポイント上回るとみている。サーバー向けメモリーで生じた供給制約が、汎用メモリーにも波及しつつあるという。

同証券は、メモリー成長の見通しは過去のサイクル全体を通じても最も明確な局面にあると指摘。サイクル後半にかけても、過去最高業績の更新が続く可能性が高いと分析した。

会場では、ストレージやインフラ関連の発信も相次ぐ。6月4日の「AIコンピューティング・インフラ」トラックでは、Western Digital(WD)のアメド・シハーブ最高製品責任者(CPO)が「AIスケールのためのストレージ再発明」をテーマに講演。Kioxiaのフクダ・コイチ テクノロジー担当役員は、SSDの中核的な役割について説明する予定だ。

Solidigmのアビ・シェティ副社長は、検索拡張生成(RAG)のパイプラインやKVキャッシュの拡大を背景に、ストレージが補完的な存在から不可欠な基盤へと変わりつつあるとの見方を示す。ZEISSは、HBM、PCB、液浸冷却、光コパッケージング(CPO)接続を含む「Chip-to-Rack」の品質ソリューションを紹介する。

電力供給と冷却も、メモリー需給を左右する重要な論点だ。NVIDIAのケビン・ダイエアリング ネットワーキング担当シニアバイスプレジデントは同日、「AIファクトリー」セッションで台湾エコシステムとの共同設計を発表する。Infineon、Schneider Electric、Supermicro、Dow、Monolithic Power Systemsも、液浸冷却や高密度電力供給技術を披露する見通しだ。

データセンターの電力制約や発熱対策は、HBM4の採用ペースを左右する要因になっている。市場の焦点は、会場で示されるビッグテック各社の需要シナリオと、HBM4の量産スケジュールがかみ合うかどうかに移っている。

NVIDIAのRubinロードマップ、IntelのXeon 6、QualcommのAI PC、MarvellとNVIDIAのコネクティビティ分野での協業――。会期中に相次ぐ発信が強気な内容となれば、DRAM・NAND価格を巡る市場の駆け引きも一段と活発化しそうだ。

ユアンタ証券は、COMPUTEX開幕に先立つ6月1日のフアンCEOの発表を含め、グローバル半導体バリューチェーンの前向きなモメンタムが続く可能性が高いと分析している。逼迫した世界のメモリー需給を背景に、次世代HBM製品群の量産立ち上げも本格化するとの見方を示した。

キーワード

#COMPUTEX #HBM4 #DRAM #NAND #NVIDIA #Qualcomm #Intel #Marvell #AI #AI PC #データセンター
Copyright © DigitalToday. All rights reserved. Unauthorized reproduction and redistribution are prohibited.