写真=BitMEX

BitMEX共同創業者のアーサー・ヘイズ氏は、マイケル・セイラー氏によるビットコイン(BTC)の買い増しを、個人投資家を支える「安全網」とみなすべきではないと警告した。Strategyの意思決定はあくまで同社の資本構造と株主利益が基準であり、市場全体の下支えを目的としたものではないという。

ブロックチェーンメディアのCryptopolitanが23日、こうした内容を報じた。ヘイズ氏はスコット・メルカー氏とのインタビューで、セイラー氏の役割は個人投資家の保護ではなく、Strategyと株主、そして同社のバランスシートに積み上がった資産を守ることにあると述べた。

その上でヘイズ氏は、Strategyが今後もビットコインを買い続ける可能性はあるとしつつも、その判断基準は同社の資金調達の枠組みと株主の利害にあると強調した。セイラー氏は個人投資家のビットコインを守るために行動しているわけではない、との見方だ。

一方、Strategyの買いが市場である程度先読みされる可能性にも言及した。STRCが額面の100を上回る兆しを示せば、ビットコインが短期的に急騰する可能性があると指摘。その場合、市場参加者はセイラー氏が数日以内に数十億ドル規模の買いに動く可能性を比較的明確に織り込み、先回りしてポジションを取れるとした。

こうした発言は、Strategyのビットコイン購入が、単純な長期保有戦略だけでは説明しにくくなっている現状とも重なる。Strategyは株式連動型の資金調達を通じてビットコインを買い増す一方で、約15億ドル(約2250億円)規模の転換社債の買い戻しも進めている。

つまりセイラー氏は、ビットコインの追加購入、レバレッジ管理、資本調達、さらに利益を求める投資家への対応を並行して迫られる立場にあるということだ。

ヘイズ氏は、Strategyが直ちに行き詰まる状況にはないとの見方を示した一方、STRCの配当設計については投資家の信認に依存する側面があると指摘した。暗号資産市場では、信頼だけに依拠した仕組みが良い結果に結びつかないことも多いとも語った。

その主張は、セイラー氏個人の判断を否定するものではない。ただ、Strategyが設計した金融商品を、ビットコインそのものと同一視すべきではないという問題提起だ。

市場では最近、セイラー氏が「ビットコインを絶対に売らない」とする従来の立場から、やや距離を置き始めている点にも注目が集まっている。限定的な売却が、1株当たりのビットコイン保有比率の改善や配当原資の確保に活用される可能性を示唆したためだ。

Strategyの保有分を「決して手を付けない資産」とみてきたビットコイン投資家にとっては、見過ごせない変化といえる。

メルカー氏も、こうした発言は上場企業の経営者として避けて通れないメッセージだと受け止めている。セイラー氏がビットコインの一部売却の可能性を明言したわけではないが、株主やSTRCの投資家、米証券取引委員会(SEC)に対し、ビットコインが単なる減損リスク資産ではなく、配当や投資家保護を支え得る資産であることを示す必要があるとの見方を示した。

個人投資家に損失が生じる可能性がある以上、上場企業の最高経営責任者(CEO)は、暗号資産コミュニティの匿名アカウントのような発言はできない、という説明だ。

ヘイズ氏は、Coinbaseのブライアン・アームストロング氏も同様の立場にあるとみている。アームストロング氏も暗号資産価格について過激な発言を繰り返すことはできず、実際には株主保護の責任を優先せざるを得ないと述べた。

今回の発言の核心は、Strategyのビットコイン買いを、個人投資家が依拠できる構造的な安全弁と解釈すべきではないという点にある。買いが今後も続く可能性はあるものの、その出発点はビットコイン市場全体の防衛ではなく、あくまで同社の資本構造と株主利益にあることが改めて示された。

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