暗号資産市場の投資家心理が改善している。市場心理を示す「恐怖・強欲指数」は5日、1月以来初めて中立圏に回復した。市場全体の時価総額も持ち直しており、ビットコインは8万ドル台を維持している。ただ、Binanceではステーブルコインの純流出が続いており、短期的な先行きにはなお警戒感が残る。
Cointelegraphによると、恐怖・強欲指数は5日に50を記録した。50は中立を示す水準で、108日間続いた慎重な投資家心理がいったん和らいだことになる。
同指数は、価格変動率、モメンタム、取引量、ソーシャルメディア(SNS)の動向などを基に市場心理を測る指標だ。25以下は「極度の恐怖」、26〜49は「恐怖」に分類される。
こうした心理改善の背景には、暗号資産市場全体の時価総額の回復がある。時価総額は5月に入って5.45%増加し、3月以降では16.51%増の2兆6600億ドル(約399兆円)となった。3月時点の2兆2800億ドル(約342兆円)から水準を切り上げた。
ビットコインもこの流れの中で、8万1000ドル(約1215万円)前後での推移が続いている。アナリストのダークポストは、ビットコインがより高い価格帯を試すにつれて、市場心理も徐々に改善しているとの見方を示した。
ダークポストは別の「ビットコイン統合心理指数」が強欲圏に入った点にも言及した。これは、投資家がビットコインを急いで売却するよりも、保有を優先していることを示すという。
もっとも、相場の上昇基調がこのまま強まるとみるのは早計だ。1月にも同様に心理改善がみられたが、その後はモメンタムが鈍化した経緯がある。ダークポストは、現在の局面を相場の分岐点になり得る水準と位置付け、次の方向性は投資家の行動次第だと指摘した。
一方で、取引所の流動性を示す指標には弱さが残る。Binanceでは4月25日以降、ステーブルコインの純流出額が累計118億ドル(約1兆7700億円)に達した。
この指標は、取引所へのステーブルコインの流入・流出を通じて、現物買いに向かう資金余力を測る材料とされる。純流入は買い余力の拡大を示す一方、純流出は取引所外への資金移動を意味し、現物市場の流動性低下につながる可能性がある。直近では、1日当たり15億ドル(約2250億円)を超える流出が複数日にわたって続いた。
市場アナリストのクレイジーブロックは、4月初めにBinanceへ積み上がっていたステーブルコイン準備金が、ビットコイン相場の上昇を下支えしたと分析した。当時は、ビットコインが7万4000ドル(約1110万円)から7万8000ドル(約1170万円)へ上昇する過程で継続的な資金流入が確認されていたが、足元ではその流れが反転したという。
このため、市場では強弱材料が交錯している。投資家心理と時価総額は回復基調にある一方、取引所内の待機資金は減少している。クレイジーブロックは、現在の流出傾向が短期的な資金余力を細らせ、ビットコインを含む暗号資産全体の上昇モメンタムを抑える可能性があるとみている。
今後の焦点は、ビットコインが8万ドル台を維持しながら、取引所の流動性も回復できるかどうかにある。心理指標が恐怖圏を脱した点は前向きな材料だが、実際の買い余力が伴わなければ、10万ドル(約1500万円)回復への期待が再び後退する可能性もある。
SNS上では、「BTCが8万ドル超の定着を試す中、市場心理はより前向きな方向に戻りつつある」との見方も拡散している。