AIの自己改善が近づいているとの見方が出ている。写真=Shutterstock

Anthropicの共同創業者ジャック・クラーク氏は、人工知能(AI)が自ら性能を改良し、再構築する段階に2028年末までに到達する可能性があるとの見方を示した。研究開発の現場で人間の関与が薄れつつあることが背景にあるという。

海外メディアのCryptopolitanが5日に報じたところによると、クラーク氏は、AIが自己改善を本格化させる時期が2028年末までに訪れる確率を60%と見積もった。そのうえで、社会がこうした変化に十分備えられているかについては確信が持てないとした。

クラーク氏は、ここ数週間でAI開発に関する数百件の公開データを精査した結果、この見方に至ったと説明した。Xへの投稿では、「AIの自己改善能力が2028年末までに本格化する可能性は60%とみている」としたうえで、「AIシステムはそう遠くない将来、自らを構築できるようになるかもしれない」と述べた。

同氏が重視するのは、AIの研究開発プロセスで人間の関与が減っている点だ。AIシステムは、これまでより少ない人間の監督でも機能する方向に進んでおり、この変化は極めて重要だと指摘した。

論点は単なる性能向上にとどまらない。AIが自ら開発サイクルを短縮し、改良の速度そのものを引き上げる段階につながる可能性があるためだ。

この点については、Anthropicの研究者アジェヤ・コートラ氏も、AI研究開発の自動化が加速していると指摘している。コートラ氏は1月時点で、年末までにAIが担えるソフトウェアエンジニアリング作業は24時間程度と見込んでいたが、その後は100時間を超える可能性があるとして予測を修正した。

コートラ氏は、「今年中にAI研究開発の自動化が起きないと断定できる明確な反証を、いまだ見いだせていない」と述べた。

こうした発言は、AIがコード生成や個別業務の補助を超え、研究開発プロセス自体を自動化する方向に向かっているとの見方を裏付けるものだ。クラーク氏が言及した「AIが自らを構築する」状態とは、人間主導だった改良工程をAI自身が担う構図を指す。

市場や業界が注目するのもこの点にある。AI開発のスピードが人間のレビューや承認の仕組みを上回れば、性能競争だけでなく、安全性の検証や統制の手法も見直しを迫られる可能性があるためだ。

新モデルの設計や評価でAIの役割が大きくなるほど、誤りの検証やリスク管理の基準も一段と高度化する必要がある。とりわけ、AIが自己改善を反復する段階に近づくほど、開発速度と規制・検証の速度とのギャップが広がる恐れがある。安全性評価、責任の所在、人間がどこまで介入すべきかをあわせて議論する必要があるとの指摘も出ている。

もっとも、今回の見方は公開データの分析に基づくクラーク氏個人の見通しにとどまる。2028年までにAIがどの水準の自己改善能力に達するかは、今後の技術進展のペースと、人間による監督体制を維持できるかどうかに左右される。

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