イーサリアムが2400ドルを下回る水準でもみ合う中、大口投資家(クジラ)が直近で14万ETH超を買い増していたことが分かった。現物ETFには資金流入が戻った一方、相場は現物より先物主導の色彩が強く、価格が一定の水準を抜けた場合には清算を伴う値動きが拡大する可能性がある。
CryptoPolitanが5日(現地時間)に報じた。一見落ち着いた値動きが続いているものの、デリバティブ市場では上下一方向に振れた場合の清算余地が大きくなっている。
CoinGlassの集計によると、イーサリアムが2206ドルを下回ると約8億7400万ドル相当のロング清算が発生する可能性がある。逆に2412ドルを上回ると、約4億300万ドル規模のショート清算が見込まれる。直近24時間の強制清算額は約3300万ドルで、このうちショート清算が2593万ドルと、ロング清算の700万ドルを大きく上回った。足元では、上振れ時の踏み上げ圧力がやや強い構図といえる。
需給面では、クジラの買い増しが確認された。Santimentのデータによると、大口保有者は5月1日から3日にかけて14万ETH超を追加取得した。金額は約3億2200万ドルに相当する。この間、クジラの保有残高は1383万ETHから1398万ETHへ増加した。アナリストのアリ・マルティネスもX(旧Twitter)への投稿で、クジラが直近96時間で約3億2200万ドル相当のイーサリアムを買い集めたと指摘した。
買いの中心価格帯も切り上がっている。CryptoQuantによると、4月初旬には2005〜2100ドルに集中していたクジラの買いは、4月末には2250〜2300ドルへ移った。5月2日には2316ドルで556ETHの買いが確認され、単発の現物買いとしては最大規模だった。下落局面だけでなく、上昇局面でも買いが続いた点が注目される。
機関投資家マネーの流れにも改善の兆しが出ている。Farside Investorsの集計では、イーサリアムの現物ETFは5月1日に純流入へ転じた。直前までは4営業日連続で資金流出が続いていたが、この日は合計1億120万ドルが流入した。内訳はBlackRockのETHAが4320万ドル、FidelityのFETHが4940万ドル。その他の銘柄は小幅な流出入が交錯した。
もっとも、短期的な上値の重さはなお意識されている。オーダーブックでは2350〜2500ドルに売り注文が厚く、2400ドルが上値抵抗として機能している。市場アナリストのテッド・ピローズは、イーサリアムについて2400ドルを明確に回復するまではもみ合いが続くとの見方を示した。
市場ではドル建て価格以上に、ETH/BTC比率を重視する向きもある。現在の比率は約0.0294。アナリストのミハエル・バン・デ・ポペは0.032を上抜けの目安として挙げ、0.032BTCを明確に超えれば、そこから本格的なトレンドが始まる可能性があると指摘した。ドル建てでクジラの買いが増えても、資金の主軸がビットコインからイーサリアムへ移らなければ、相対的なパフォーマンスは弱いままにとどまるとの見方だ。
足元の相場を不安定にしている背景には、現物より先物主導の構造がある。未決済建玉は約300億ドル、イーサリアム先物の24時間取引高は約180億ドルに達する一方、現物の取引高は10億ドルを下回る。現物需要を上回るペースでレバレッジが積み上がっており、相場がどちらかに動けば変動率が高まりやすい地合いだ。
このため市場では、2412ドルの上抜けと2206ドルの下抜けが重要な分岐点とみられている。2412ドルを超えればショート清算が、2206ドルを割り込めばロング清算が連鎖し、値動きが一段と大きくなる可能性がある。当面は現物需要そのものより、ポジション構造がイーサリアム相場を左右しやすい展開が続きそうだ。