Netmarbleは、オープンワールドアクションRPG「Game of Thrones: Kingsroad」のアジア版を大幅に刷新した。PC版を14日に先行公開し、モバイル版は21日に正式配信する。欧米向けアーリーアクセスで集まった約1年分のユーザー意見を踏まえ、有料ガチャの廃止をはじめ、戦闘システムやマルチプレイ要素も見直した。
今回のアジア版は、単なるローカライズにとどまらない。収益モデル、戦闘、協力コンテンツといった中核部分を改めて設計し直したのが特徴だ。Netmarble Neoのチャン・ヒョンイルプロデューサーと、Netmarbleのムン・ジュンギ事業本部長が、開発方針と展開戦略を説明した。
◆「ドラマで描き切れなかったウェスタロス」 原作と整合する物語設計
「Game of Thrones: Kingsroad」は、HBOドラマ「Game of Thrones」シーズン4後半の世界を舞台にしたオープンワールドアクションRPG。NetmarbleはHBOとWarner Bros. Gamesの公式ライセンスを取得して開発を進めており、両社とは週1回の定例ビデオ会議を通じて、コンセプト段階から最終成果物まで監修を受けている。
チャン氏は、シーズン4を採用した理由について「さまざまな対立や脅威が一斉に表面化し、シリーズ全体でも特に緊張感が高まる時期だからだ」と説明した。
プレイヤーが操作する主人公は、既存の大貴族ではなく「北部で没落した小貴族ティレ家の後継者」という設定にした。チャン氏は「大貴族の後継者にすると原作の叙事と衝突するおそれがある。一方で小貴族であれば、特定勢力に偏らず、さまざまな家と自然に関係を築ける」と話す。
原作をそのまま再現するのではなく、世界観の内部でプレイヤー自身の物語を展開できる構成にした。オリジナルストーリーは、権利元の推薦を受けた海外のシナリオ作家と共同で制作しており、正式版では約30時間分のストーリーを用意したという。
◆有料ガチャを廃止 課金、戦闘、マルチプレイを再構築
チャン氏は、欧米向けアーリーアクセスで確認した主な課題として、(1)有料ガチャへの反発、(2)戦闘パターンの単調さとオープンワールドコンテンツの不足、(3)メインクエスト進行中に過度な育成を求められる点――の3つを挙げた。そのうえで「細かな調整ではなく、コアとなる設計を作り直す水準で改善した」と語った。
最も大きな変更は収益モデルだ。有料ガチャを完全に廃止し、取引所システムを導入した。収益源は月額課金、バトルパス、コスメティックアイテム、一部パッケージ商品を中心に再編した。瞬間移動など利便性機能の有料化も取りやめた。ムン氏は「課金しなくてもプレイを通じて装備を獲得でき、ユーザー間取引を軸にゲーム内経済が循環するよう設計した」と説明した。
戦闘システムも見直した。欧米版では武器体系が近接1種、遠距離1種の計2種だったが、アジア版では近接2種、遠距離1種の計3種に拡大する。チャン氏は「武器が1つだと戦い方が単調になりやすいことが、欧米でのサービスを通じて分かった」と述べた。武器の切り替え時には、それぞれ独立したスキルセットに加え、ゲージと連動した追加バフも適用され、戦略の幅を広げたとしている。
マルチプレイ要素も大きく増やした。4人パーティーダンジョン「記憶の祭壇」、4人ボスレイド「深淵の祭壇」、12人フィールドボス、2人協力ダンジョン「精鋭の隠れ家」、襲撃防衛戦などを用意する。レイドではバリスタの操作など役割分担を求めるギミックを盛り込み、協力プレイを中核要素に位置付けた。アップデートはおおむね6週間ごとを目標とし、初回更新では新エリア「ストームランド」の拡張とメインクエスト追加を予定している。
クローズドβテストでは、肯定的な回答が80%を超え、アンケート回答者の95%が正式版もプレイしたいと答えた。ユーザー試遊会では、アクションの手応えや収益モデル改編を評価する声が多かった一方、カメラ視点やクラーケンレイドにおけるオブジェクトの視認性など、UI/UX面の課題も指摘された。開発チームはそれらを踏まえ、正式版への反映を進めている。
◆手動アクションを重視 長期運営は協力コンテンツが軸に
韓国のモバイルゲーム市場で放置系タイトルの存在感が高まるなか、「Game of Thrones: Kingsroad」はフル手動のアクションを前面に打ち出した。チャン氏は「『Game of Thrones』というIPの戦闘表現を生かすには、完全手動が欠かせない。自動戦闘では操作感やアクションの手応え、戦略性が損なわれる」と語った。
戦闘設計やUIは、キーボードとマウスでの操作を基準に開発した。モバイル向けには「戦闘アシストモード」を提供するが、コンボ、スキル、回避、パリィといった中核アクションは直接操作を維持する。クラスはナイト(両手大剣・双剣)、傭兵(両手斧・ガントレット)、アサシン(二刀短剣・レイピア)の3種。1キャラクターで近接、遠距離、潜入、制圧といった役割を担える構造だという。
長期運営の考え方について、ムン氏は「ドラマIPを長く運営するゲームにするには、原作世界を継続的に拡張できるライブコンテンツと、プレイヤー自身の物語がその世界観に自然に溶け込む設計が重要だ」と説明した。そのうえで「協力コンテンツを通じてユーザーがコミュニティーを形成する構造こそ、長期運営の核になる」と述べた。
アジア市場でのマーケティングは、欧米展開時よりも積極的に進める方針だ。ムン氏は「欧米で得た経験を通じて完成度への自信が高まった。アジア発売に向けた準備も着実に進めている」と話した。対応言語は中国語繁体字、日本語を含むアジア7言語。地域全体でバランスの取れた成果を目指す。
欧米版については、アジア版の配信後、今回の改修内容を反映した大規模アップデートを第3四半期中に実施する予定だ。両バージョンは別サーバーで運営する。