写真=Reve AI

BlackBerryが、車載OS「QNX」を軸に再び存在感を高めている。スマートフォン事業から撤退した同社はソフトウェア企業へと転換し、QNXは現在、売上高の約半分を占める主力事業に成長した。米Wall Street Journal(WSJ)が報じた。

かつてキーボード付きスマートフォンで一時代を築いたBlackBerryだが、現在は端末販売を終え、Appleに押されて市場から退いた後はソフトウェア事業へかじを切った。その中核を担うのがQNXだ。

QNXは車載OSとして、衝突警告や死角検知、アダプティブクルーズコントロール、歩行者検知、車線逸脱時の復帰支援など、各種の運転支援機能を支えている。WSJによると、QNXはすでに約2億7500万台の車両に搭載されている。

車両のコンピュータ化が進むなか、QNXは高い信頼性を備えたシンプルなリアルタイムOSとして、世界の主要自動車メーカーから支持を集めてきた。業績面でも寄与は大きく、現在はBlackBerry売上高の約半分を占めるという。iPhoneとの競争で苦戦した時期以降では初めて、4四半期連続で利益を確保できた背景にもQNXの存在があるとみられている。

先月は四半期決算を受けて市場の関心が高まり、BlackBerry株は50%上昇した。全盛期と比べればなお96%低い水準にあるものの、同社は再成長への手応えを示している。

同社のCEOは決算発表後のカンファレンスコールで、「BlackBerryの物語は、いまや新たな成長ストーリーだ」と述べた。

BlackBerryは2010年にQNXを買収した。次の成長の柱を確保する狙いがあったが、当時は経営が深刻な局面にあり、QNXを取り込んでも業績の立て直しにすぐ結び付くとは見られていなかった。

買収後は、QNXに所属していた多くのエンジニアがモバイルOS開発に回り、一部の人員が車載ソフトウェアの開発を継続した。当時は本社の関与も限定的で、QNXチームは開発に専念できたという。

その結果、車載ソフトウェア市場で本格的な競争が激化する前に、車載インフォテインメント分野で一定の成果を積み上げた。だが、その後はGoogleが独自のAndroidベースのインフォテインメントシステムを投入し、Appleも自動車開発に向けてQNXのエンジニアを採用するなど、競争環境は大きく変わった。

競争の少ない時期に築いた優位性だけでは、ビッグテックの攻勢をしのぐのは難しいとの見方もあった。スマートフォン市場でiPhoneに押された構図が再び繰り返される可能性も指摘されていた。

こうしたなか、BlackBerryは2014年に戦略を見直した。インフォテインメントでビッグテックと競うのではなく、車内システムの中核ソフトウェアに注力する方向へ転換した。現在の車載OS事業は、この判断の延長線上にある。

同社は、車載システムのより中核に近い領域へ進出する以外に選択肢はなかったとしている。この戦略転換は奏功し、QNXは車両の中核部分に組み込まれる存在へと位置付けを高めた。

さらにQNXの適用先は自動車以外にも広がっている。WSJによると、同技術は医療機器や産業オートメーション、ロボティクス分野にも展開されており、手術ロボットや10種類以上の医療機器にも採用されているという。

足元の株価動向を見る限り、投資家もBlackBerryが自動車分野にとどまらず、QNXのエコシステム拡大を進めている点を前向きに評価しているようだ。スマートフォンで後退を余儀なくされた同社が、安全性が重視されるハードウェア領域を支えるソフトウェア企業として成長を持続できるかが注目される。

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