OpenAIやAnthropicなど生成AIの普及を背景に、軟調だった企業向けソフト株が反発している。Atlassianが通期見通しを引き上げたことをきっかけに、SaaS需要の先行きに対する過度な警戒がやや和らぎ、関連銘柄に買いが広がった。
市場で意識されてきたのは、企業がAIを活用して業務ソフトを内製化し、SaaS需要が縮小するのではないかという「SaaSpocalypse」の見方だ。今回の決算がその懸念を完全に払拭したわけではないものの、少なくとも悲観論の修正につながるかが注目されている。
Atlassian株は1日(現地時間)の決算発表後、一時25%上昇した。コミュニケーションプラットフォームを手がけるTwilioとFive9も好決算を受け、それぞれ20%高、16%高となった。
前四半期の売上高は、Atlassianが前年同期比32%増、Twilioが20%増、Five9が9%増だった。Atlassianでは、AIベースのサービス製品による年間サブスクリプション売上高が10億ドル(約1500億円)を突破した。
IndexBoxによると、Atlassianの上昇は同業にも波及し、SalesforceやServiceNowの株価を押し上げた。ホテル・外食向けソフトのAgilysysは3.2%高、データインフラのTeradataも3.2%高、脆弱性管理のRapid7は3%高だった。もっとも、Teradata株は年初来ではなお7.1%安の水準にある。
Palantir Technologiesも4日の決算発表後、株価が小幅高となった。1-3月期売上高は16億3000万ドル(約2445億円)で、前年同期比85%増。過去最大の年間成長率となり、市場予想も上回った。純利益は8億7600万ドル(約1314億円)と前年同期の4倍に拡大し、こちらも市場予想を上回った。
決算発表後のPalantir株は時間外取引で1%上昇した。中東情勢の悪化を受けて米株式市場が全面安となる中でも底堅く推移したと、ウォール・ストリート・ジャーナルは報じた。Palantir株は1年前と比べて18%高い一方、年初来ではなお13%安となっている。
一部アナリストの間では、ソフト株は市場全体に比べて出遅れていた分、反発しやすい地合いが整いつつあるとの見方も出ている。
Business Insiderによると、AvaTradeのチーフ市場アナリスト、ケイト・リーマン氏は「今回の決算でSaaSpocalypseという物語が完全に消えたわけではないが、大きな亀裂が入った」と指摘した。そのうえで、「構造的な衰退局面にある分野で見られる動きではない」と述べた。
一方でBusiness Insiderは、今回の決算だけでSaaSpocalypse懸念が解消したとみるのは早計だとも伝えた。リーマン氏は「問題はSaaS分野そのものの消滅ではなく、勝者と敗者が残酷なまでに二極化することだ」としたうえで、「今回の決算は勝者を示したが、敗者は依然として存在する」と述べた。