写真=SAP

SAPは4日(現地時間)、AI研究所のPrior Labsと、データレイクハウスプラットフォームを手がけるDremioを買収すると発表した。いずれの案件も規制当局の承認を要する。

テックジンによると、SAPはPrior Labsの買収後、今後4年間で10億ユーロ超を投じ、同社を構造化ビジネスデータに特化したグローバルAI研究拠点として育成する方針だ。買収額は公表していない。Prior Labsは買収後も独立組織として運営される。

Prior Labsは、巨大言語モデル(LLM)とは異なるアプローチのテーブル型ファウンデーションモデル(TFM)を強みとする。

SAPは、LLMには表形式データや数値、統計情報の扱いに限界があり、構造化ビジネスデータから高精度な予測を導き出すには適さないとみている。一方でTFMは、こうしたデータに特化したモデルであり、支払い遅延の予測、サプライヤーリスクの評価、顧客離反の予測、追加販売機会の把握などに活用できるとしている。

SAPは今後、Prior Labsの技術と自社開発のSAP-RPT-1モデルを組み合わせ、SAP AI CoreおよびSAP Business Data Cloudを通じてTFMを提供する計画だ。エージェンティックAIレイヤー「Joule」がその連携を担う。SAPによれば、利用者はデータサイエンスの専門知識がなくても、対話型インタフェースで質問し、データセットを選択したうえで仮想シナリオを実行できるという。

一方、Dremioは分析およびAIワークロードを支援する、オープンなサーバーレス型データレイクハウスプラットフォームだ。Apache Iceberg、Apache Polaris、Apache Arrowなどのオープンソースプロジェクトを基盤としている。

SAPはDremioの買収を通じて、SAP Business Data CloudをApache Icebergベースへ移行する考えだ。SAPデータと非SAPデータを、データ移行やフォーマット変換を伴わずに併用できるようにする狙いがある。

SAPのCTO、フィリップ・ヘルツィヒ氏は「企業向けAIで最大の未開拓領域はLLMではなく、世界のビジネスを動かす構造化データのためのAIだ」と述べた。そのうえで、「企業AIが停滞しているのはモデルが足りないからではない。AIエージェントが使える形でデータが整備されていないことが原因だ」との認識を示した。

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