暗号資産市場はすでに相当程度の弱気相場を織り込み、足元はサイクル終盤ではなく中間調整局面にある――。Fundstrat共同創業者のトム・リー氏とReal Vision創業者のラウル・パル氏が、こうした見方を示している。
ブロックチェーンメディアのBeInCryptoによると、リー氏は3日(現地時間)、Fundstratのリサーチチャンネルのインタビューで、株式市場の約半分と暗号資産市場がすでに「隠れた弱気相場」を通過したと述べた。
リー氏は、ソフトウエア株がすでに大きく下落しており、同じく流動性縮小の影響を受ける暗号資産もそれに連動して下げたとの見方を示した。空売りポジションについても、典型的なサイクルの天井圏ではなく、弱気相場のさなかに見られる水準まで積み上がっていると分析した。
そのうえで、市場参加者の悲観は短期間で急速に強まったと指摘した。実際の見出し材料が出そろう前から、ポジションと投資家心理は防御的に傾いた一方、先行指標には安定化の兆しが出ているという。こうした乖離は、さらなる急落の入り口というより、過去の反転局面に近いとの判断を示した。
信用市場についても、2008年のようなシステム危機ではなく、景気循環に伴う信用ストレスに近いと分析した。このため、大手銀行は足元の環境変化の中でも恩恵を受ける可能性があるとした。
マクロ指標を根拠に、同様の見方を示す声もある。Real Vision創業者のラウル・パル氏は、世界のM2が過去最高水準にあり、ドルが弱含んでいる点を挙げた。さらに、米供給管理協会(ISM)指数も改善しており、米国の流動性環境は上向いていると評価した。インタビューでは「現在の動きはサイクル終盤ではなく、中間調整局面に見える」と語った。
市場心理の指標も、その根拠の一つだ。パル氏は暗号資産のFear & Greed指数を代表的な心理指標として取り上げ、同指数が10を下回る期間は過去最長となり、数値も8まで低下したと説明した。これは追加下落のシグナルというより、反転の可能性を示す局面だと解釈している。
もっとも、実際の資金フローはなお弱い。先週のデジタル資産ファンドは4億4500万ドル(約667億円)の純流出となり、このうちイーサリアムは2億2200万ドル(約333億円)と最大の流出を記録した。
一方でパル氏は、こうした極端な恐怖心理そのものが、反発余地の拡大を示すシグナルになり得るとみている。
リー氏は中長期的な材料として、AIとトークン化がブロックチェーン需要を下支えする可能性にも言及した。ステーブルコインの決済基盤やオンチェーン決済システムが、将来的にAIエージェントが大規模に活用するインフラになり得るという見方だ。
マクロ面の圧力が和らげば、こうした構造的需要がビットコインやイーサリアムへの資金流入を再び促す可能性があるとも述べた。ただ、市場が実際に反発局面へ移るかどうかは、流動性拡大のスピードに左右されるとみている。投資家心理がファンダメンタルズの変化に追いつかない可能性も、今後の変数となる。
足元の焦点は価格水準そのものよりも、市場のポジションと投資家心理が、すでに底値圏のシグナルを相当程度織り込んでいるかどうかに移っている。