OpenAIはMicrosoftとの提携契約を見直し、Microsoft Azure以外のクラウドでも自社モデルを提供できるようになった。これを受け、Amazon Web Services(AWS)は自社のAIプラットフォーム「Bedrock」を通じてOpenAIモデルを提供する方針を示した。AI業界では、クラウド上の協業関係の再編に加え、AIエージェント向け決済基盤の標準化競争も熱を帯びている。
Bedrockは、Anthropic、Amazon Nova、Cohere、Alibaba Qwen、DeepSeekなどのモデルを単一のAPIで利用できるプラットフォームだ。これまでOpenAIのモデルは対象に含まれておらず、生成AIブームを牽引してきた有力モデルがラインアップに欠けていた格好だった。
今回の協業強化により、AWSはBedrockのモデル群を一段と拡充できる。OpenAIにとっても、AWSを足場に企業向け市場での展開を広げやすくなる。一方で、OpenAIモデルのBedrock採用に慎重なAWS顧客もいると報じられている。2〜3年前とは異なり、現在はAnthropicなど、Bedrockで提供中の既存モデルで十分だとみる利用者もいるためだ。
AIエージェント決済を支える基盤技術を巡る競争も激化している。暗号資産取引所OKXは、AIエージェント向けの決済オープン標準「Agent Payments Protocol(APP)」を公開した。
APPは、Coinbaseがインキュベートしたオープンプロトコル「x402」や、Stripeが提案した「Machine Payments Protocol」と並び、エージェント決済の標準化を巡って競う構図となる。
Stripeは年次カンファレンスで、AIエージェント決済を支援するデジタルウォレット「Link」を披露した。
AI関連ではこのほかにも、主要各社の動きが相次いでいる。AI利用量の急増を受け、料金体系の見直しを通じて実質値上げに踏み切る企業が増えており、Anthropicに続いてMicrosoftも従量課金の強化に動いている。
Microsoftは、企業環境内のAIエージェントを統合管理するプラットフォーム「Agent 365」の正式提供を始めた。Microsoft Copilot、Teams、Microsoft 365上で稼働するエージェントに加え、外部パートナーのエージェントも管理対象に含める。Word向けには、法務文書に特化したAIエージェント「Legal Agent」も投入した。
AWSは、クラウド型コンタクトセンター「Amazon Connect」を業種別AIエージェント4サービスへ拡張した。業務自動化向けのデスクトップAIアプリ「Amazon Quick」も公開している。
OpenAIは、サイバーセキュリティに特化したモデル「GPT-5.5 Cyber」を選定ユーザー向けに先行公開する。利用希望者向けに、要件や活用計画を提出する申請手続きもWebサイト上に設けた。
GoogleはAIサービス「Gemini」アプリへの広告導入の可能性を示し、収益モデルの多角化を進めている。
Ciscoは、企業が外部AIモデルを利用する際のセキュリティやコンプライアンス上の課題への対応を支援するため、オープンソースツール「Model Provenance Kit」を公開した。
Adobeは、主要テック企業やエージェンシー、システムインテグレーターを含むエージェント型エコシステムの拡大を進めている。Adobeによると、同社のAIエージェント、スキル、開発者ツールはAWS、Anthropic、Google Cloud、Microsoft、OpenAI上で利用できる。
Salesforceは、バックオフィス業務の自動化向けAIシステム「Agentforce Operations」を投入した。
元Twitter CEOのパラグ・アグラワル氏が創業したAIエージェントツールのスタートアップ、Parallel Web Systemsは、Sequoia主導のシリーズBラウンドで1億ドル(約150億円)を調達した。Parallelは、AIエージェント向けのWeb検索・リサーチAPIを提供している。
LG AI Researchは韓国電子技術研究院(KETI)と共同で、LGのAIモデル「EXAONE」を基盤とする行政安全部の「AI安全通報」第1段階の研究開発を完了した。年内の試験サービス開始を目指す。
NHN Doorayは、AIエージェントのサービスラインアップを打ち出し、企業向けコラボレーション市場の開拓を加速する。単純な対話型アシスタントにとどまらず、Doorayに蓄積された業務データを直接活用し、業務を代行する「行動段階」のエージェントを公開した。
LG CNSは、OpenAIとのChatGPT Enterpriseリセラーパートナー契約に続き、ChatGPT Eduのリセラーパートナーにも領域を広げ、教育分野のAX市場の開拓を進める。
NotionはNexonと、AIを基盤とした業務革新に向けた戦略的パートナーシップを締結した。
CJ ENMは、AIと実写を組み合わせた長編映画「アパート」を公開した。撮影期間を4日に短縮するなど制作効率を高めた一方、背景表現の一貫性や、実写映像とAI生成映像の解像感の差が課題として挙がっている。今後はAI制作パイプラインを高度化し、ドラマ、映画、広告へと活用領域を広げる方針だ。
Google DeepMindのCEO、デミス・ハサビス氏は「Google for Korea 2026」に出席し、「人類が繁栄する新たなルネサンスを開く」と述べたうえで、汎用人工知能(AGI)の最前線で「すべての人のためのAI」を実現するとのビジョンを示した。
韓国科学技術情報通信部はDeepMindと、科学技術AIの共同研究、AI人材育成、責任あるAI活用を柱とする覚書(MOU)も締結した。
大手クラウド各社の1〜3月期決算は、そろって市場予想を上回った。AIへの積極投資が、クラウド事業の成長を支えている構図が鮮明になっている。
一方で、AIチップ不足は深刻化している。大手クラウド各社はGPU在庫を社内需要や大口顧客に優先配分しており、そのしわ寄せがAIスタートアップに及んでいる。スタートアップがGPUサーバーにアクセスするため、クラウド事業者に相対的に高いコストを支払っているとの指摘も出ている。