ビットコインのイメージ(写真=Shutterstock)

2010年に失われた8999BTCのビットコインウォレットについて、GPUを活用した新たな解析手法により復旧できる可能性が浮上した。実現すれば、回収事例としては最大級の一つになる可能性がある。

ブロックチェーンメディアのBeInCryptoが2日付で報じた。開発者の1人が、NVIDIAのCUDAを利用したツールにより、通称「ストーン・マン」の紛失ウォレットに対応する鍵を見つけられる可能性があると指摘したという。

このウォレットは約16年間動きがない。現在の価値は約6億8800万ドルとされ、記事中で示されたビットコイン価格の7万8180ドルで換算すると、約7億300万ドル規模となる。復旧に成功すれば、これまでのビットコイン回収事例の中でも最大級になる可能性がある。

経緯は、初期のビットコインウォレットの仕様にさかのぼる。ストーン・マンは2010年に9000BTCを購入し、LinuxのブートCD環境でビットコインクライアントのバージョン0.3.2を使用した。その後、自身のアドレスに1BTCを送金した際、ソフトウェアが残りの8999BTCを受け取るための「おつりアドレス」を自動生成した。

ところが、システム終了時に更新後のwallet.datファイルが消えたことが問題になった。手元のバックアップには新たに生成されたおつりアドレスの情報が含まれておらず、結果として、その秘密鍵を失ったまま資産にアクセスできなくなったという。

復旧の可能性を示したRedditユーザー(@CompetitiveRough8180)は、新ツールが初期ビットコインクライアントの鍵生成におけるエントロピー不足を利用し、探索範囲を大幅に絞り込めると説明した。計算処理はCUDAを通じてGPUにオフロードし、これまでCPUだけでは現実的でなかった試行を可能にするという。

注目されるのは、この問題が単一のウォレットにとどまらない可能性があるためだ。失われたウォレットに固定されたビットコインは約400万BTCに上るとの推計もある。多くはネットワーク黎明期に生成されたもので、当時はエントロピー管理やバックアップの運用が現在ほど確立されていなかった。

開発者が指摘する初期クライアントの構造的な弱点が裏付けられれば、同時期に作成され、長期間動きのないウォレットにも影響が及ぶ可能性がある。

BeInCryptoは、この問題が足元の価格動向というより、初期ビットコインウォレットのセキュリティ設計と、失われた資産の回収可能性を改めて市場に意識させていると伝えた。とりわけ、初期の鍵生成方式の脆弱性が事実として確認されれば、長期間移動のない大口ビットコインの状態を再点検する動きが広がる可能性がある。

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