Blockstreamのアダム・バック最高経営責任者(CEO)は、ビットコイン・トレジャリー企業について、現行の法定通貨体制とビットコイン中心の将来経済との間にある価格差を捉える「合理的な裁定取引」との見方を示した。
ブロックチェーンメディアのBeInCryptoは1日(現地時間)、バック氏がビットコイン・トレジャリー企業を「法定通貨の現在と、ハイパービットコイン化が進んだ将来の間にある裁定取引」と表現したと報じた。
バック氏は、企業が現在の価格水準でビットコインを取得すれば、ビットコイン採用の拡大と法定通貨価値の低下という二つの流れの恩恵を受けられるとみている。法定通貨については、インフレや政策対応の失敗によって価値が損なわれる可能性があると指摘した。
その上で、こうしたギャップは、早い段階でビットコインを積み増した企業に大きな上昇余地をもたらし得るとした。
この見方は、ビットコイン・トレジャリー企業を一般的な株式投資ではなく、通貨体制の転換を見込んだ非対称の賭けと捉える考え方だ。Strategyの積極的なビットコイン蓄積戦略に近い企業行動を支える論理ともいえる。
前提としてバック氏は、最終的にビットコインが世界で支配的な価値保存手段になるとみている。その場合、ビットコインは国際商取引や各国の財政を支える準備資産として機能するとした。
また、こうした転換が起きる前にビットコインを蓄積した企業は、価格上昇だけでなく、用途拡大や受容性の向上による恩恵も享受できると説明した。
この見通しは、マイケル・セイラー氏が示してきた長期シナリオとも重なる。セイラー氏は、デジタル信用の流れや機関投資家による採用拡大を根拠に、ビットコイン価格が1BTC当たり1000万ドルに達する可能性があるとの見方を示してきた。
一方、ピーター・シフ氏は、Strategyのビットコイン戦略は根本的に誤っていると批判している。配当義務の増加によって、ハイパービットコイン化が進む前に清算を迫られる可能性があると主張した。
上場企業によるビットコインの積み増し競争も続いている。Strategyの保有量は81万5061BTCで、評価額は634億6000万ドルに上る。
他社でも同様の戦略を検討する動きがあり、ビットコインがなお相対的に割安と判断されれば、早期の蓄積を急ぐ流れは一段と強まる可能性がある。
バック氏は、ビットコイン・トレジャリー戦略を単なる投機ではなく、法定通貨体制の弱体化に備える合理的なヘッジと位置付けた。ただ、この論理が成り立つには、ビットコイン採用が一段と加速し、既存の通貨体制が実際に圧力を受けることが前提になるとも指摘している。