「CJ ENM 2026 AIカルチャートーク」に登壇した関係者。左からキム・シンヨン氏、CJ ENM AIスタジオ チーム長のチョン・チャンイク氏、CJ ENM コンテンツイノベーション担当のペク・ヒョンジョン氏、Google Cloud カスタマーエンジニアリング ディレクターのアン・ソンミン氏、THE HAN FILM代表のハン・ソングン氏。30日、ソウルのCGV龍山アイパークモールで撮影。写真=デジタルトゥデイ

CJ ENMは4月30日、ソウルのCGV龍山アイパークモールで「CJ ENM 2026 AIカルチャートーク」を開き、AIと実写を組み合わせた長編映画「アパート」を披露した。俳優の演技はグリーンスクリーン環境で撮影し、背景やVFXの大半をAIで生成するハイブリッド方式を採用した。制作費の圧縮や制作期間の短縮で成果を示した一方、背景表現の一貫性や実写との解像度差といった課題も浮き彫りになった。

同作では、俳優の演技パートを屋内のグリーンスクリーンで撮影し、その後に背景とVFXをAIで構築した。CJ ENMによると、撮影は4日で終えたという。

大きく変わったのは制作コストだ。1時間尺の長編映画を総額5億ウォン(約5500万円)で制作した。CJ ENMのAIスタジオ チーム長を務めるチョン・チャンイク氏は、「通常の制作方式であれば、少なくとも5倍以上の費用がかかったはずだ」と説明した。

こうした効率は、クリーチャーの登場や大規模なVFXを必要とする韓国オカルトスリラーというジャンル特性によって、より際立った。CJ ENMでコンテンツイノベーションを担当するペク・ヒョンジョン氏は、「本作では5〜7倍程度のコスト効率化が可能だった」と述べた。

ペク氏はさらに、「大規模なファンタジーやSF作品でも、AIによって制作の幅を広げられると期待している」と語った。チョン氏も、「AIでは、カフェのシーンでも怪獣との格闘シーンでも、制作費は大きく変わらない」としたうえで、「これまで制作費の制約で実現が難しかったジャンル作品の限界を、AIが崩していける」と話した。

技術面では、GoogleのAIソリューションを3種類活用した。画像生成モデル「Imagen」で背景を作成し、「Nano Banana」で補正・最適化した後、動画生成モデル「Veo」で映像化する流れだ。チョン氏は、写実性と映画的な情緒のバランスが取りやすく、狙ったアングルを反映しやすい点を採用理由に挙げた。「背景画像の生成にはImagenとNano Bananaを使い、映像化作業の大半もGoogleのソリューションで処理した」としている。

Google Cloudのカスタマーエンジニアリング ディレクター、アン・ソンミン氏は、「単にAIモデルを提供するだけでなく、実制作に即したユースケースを共同で見いだすことが最も重要だった」と述べ、「CJ ENMと今後もより多くの事例を作っていきたい」と語った。

一方で、AI活用の限界も明確になった。THE HAN FILM代表のハン・ソングン氏は、「背景の一貫性を保つことはキャラクターよりはるかに難しい。映像が長くなるほど、どれだけ精緻に一貫性を維持できるかが重要になる」と指摘した。

解像度の差も課題だ。チョン氏は、「実写撮影は4Kだが、AI生成画像は2K以下のケースが多く、差が出る。カラーグレーディングでは、どうしても低い方に合わせざるを得ない」と説明した。

韓国らしい背景の再現にも苦労したという。AIモデルが欧米の画像に最適化されているため、韓国のアパートを生成しようとしても、中国や日本の意匠が混在した画像になるケースがあった。チョン氏は、「Googleのソリューションに自社の技術と開発パイプラインを組み合わせて補強した」と明らかにした。

AI技術の進化の速さも、制作現場では新たな変数になっている。モデルの性能向上が急速なため、シーンの差し替えや背景修正が相次ぎ、どこで完成とみなすか判断しにくいという。チョン氏は、「AI制作コンテンツは、どの時点の技術で作られたかを踏まえて評価する必要がある」と述べたうえで、「昨年夏の制作当時にNano Bananaがリリースされ、数日間解決できなかったシーンが1日で処理できた」と振り返った。

そのうえでチョン氏は、「AI映画は一般の映画と異なり、編集後も修正できる。そこが長所でもあり、短所でもある」と話した。

CJ ENMは今後、ドラマや映画の制作全般にAI制作パイプラインを適用し、広告事業にも広げる方針だ。ペク氏は、「AIによって変化するコンテンツ市場を主導するには、誰よりも先に使い、試すことが重要だ」と述べ、「今後放送・上映されるドラマや映画にもAIパイプラインを適用していく」と語った。

CJ ENMは2月、AI制作会社13社、教育機関5機関とともに「AIコンテンツアライアンス」を発足した。「アパート」の制作には、同アライアンスに参加するTHE HAN FILMとSALTMAKERSが加わった。

ペク氏は、「CGの登場によってブロックバスター作品が爆発的に増えたように、AIもコンテンツの規模とジャンルを変えていく」と指摘した。そのうえで、「最終的には、一般映画とAI映画の境界はなくなるだろう」との見方を示した。一方で、「真摯な演技はAIでは代替できない」とも強調し、「俳優の演技を残し、背景や効果をAIで実装するハイブリッド構造こそが、コンテンツの本質を生かす」と述べた。

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