ビットコインは7万8000ドル手前で上値の重い展開が続いている。先物市場ではショート需要が強まり、無期限先物の資金調達率も再びマイナス圏に沈んだ。短期的な投資家心理には警戒感が広がっている。
Cointelegraphによると、ビットコインは29日、7万7800ドル近辺で伸び悩んだ後、7万6000ドル前後で推移した。
背景には、リスク資産全般の地合い悪化がある。S&P500指数も7200近辺で上値の重い動きとなる中、イランを巡る軍事衝突が60日目に入ったことで、国際原油価格は1バレル=118ドル方向へ上昇。インフレ懸念が改めて意識された。
加えて、テクノロジー企業による人工知能(AI)投資が期待したほど収益に結び付かないのではないかとの見方も、市場の不安心理を強める要因となった。
こうした地合いはデリバティブ指標にも表れた。ビットコインの無期限先物の資金調達率は29日、再びマイナスに転じた。
前日までは中立から小幅な強気圏にあったが、マイナス転換は市場心理が売り優勢に傾いたことを示す。一般に、市場が健全な上昇トレンドにある局面では、年率換算の資金調達率は6~12%程度で推移し、ロング保有者がコストを負担する。
これに対し、資金調達率がマイナスとなるのはショート需要の強まりを意味する。実際、直近2週間の資金調達率はおおむねマイナス圏にとどまっており、レバレッジをかけた下落見通しが続いていたことを示している。
もっとも、大口投資家が一斉に弱気へ傾いたとみるのは難しい。取引所の上位トレーダーのロング・ショート比率を見ると、Binanceでは29日に0.80だった。
28日の0.75からは小幅に改善したものの、なおやや弱気寄りの水準にある。OKXでも、25日以降は上位トレーダーが断続的に強気シグナルを示したが、その流れは長続きしなかった。
それでも、大口投資家のポジションが急速に悪化している兆候は限られている。上位トレーダーのロング・ショート比率は、この1週間おおむね安定して推移した。
29日にビットコインが7万5000ドルまで下落した局面でも、大口投資家のポジション変化は大きくなかった。先物市場全体には警戒感が残るものの、大口投資家まで同じペースで弱気に傾いたわけではない。
市場では、強気派の確信が後退したことと、相場が直ちに弱気局面へ移行することは別だとの見方が出ている。ビットコインは7万8000ドルを明確に上抜けて定着できていない一方、大口投資家が積極的にショートへ傾いたことを示す材料も、現時点では乏しいためだ。
ただ、先物の資金調達率がマイナス圏にとどまる限り、当面の投資家心理はマクロ経済の動向やテクノロジー企業の業績にこれまで以上に敏感に反応する可能性が高い。