NTTは、2033年度までに国内データセンターの電力容量を2024年度の300メガワット(MW)から1ギガワット(GW)へ拡大する方針だ。全国分散型の拠点整備に加え、都心部での液浸冷却データセンターや海底ケーブル直結施設の整備も進め、AIインフラの競争力強化を図る。
ITmediaが4月28日に報じたところによると、NTTは電力容量ベースで国内データセンターを大幅に増強する計画を明らかにした。
計画の柱は、最新のデータセンターを全国に分散配置し、高速ネットワークで接続することにある。AIサービスに必要な大規模計算やデータ処理を支える狙いだ。シマダ・アキラ社長は東京都内での記者会見で、「今後はAIの推論用途が拡大する」と述べた。
NTTは、AIモデルの学習需要に加え、実運用段階で膨らむ推論需要の拡大を見込む。特定地域への集中を避けながら、全国規模でインフラを増強していく考えだ。
グループ各社でも関連投資を進める。NTTドコモビジネスは同日、次世代半導体企業Rapidus向けに新型データセンターを提供すると発表した。半導体の設計・製造に伴う高性能計算需要を支援する。
冷却技術への投資も進める。NTTは2029年、東京都品川区に液浸冷却方式を採用した都心型データセンターを建設する計画だ。液浸冷却は、サーバー機器を冷却液に直接浸して放熱する方式で、高性能AIサーバーの発熱対策として注目されている。
NTT西日本も2029年、福岡市で海底ケーブルに直接接続するデータセンターを完成させる予定だ。国際回線との接続効率を高めるとともに、エネルギー効率の改善も目指す。
NTTは、こうした一連の投資を通じて、国内のAIデータセンター基盤を段階的に拡充する方針だ。
国内では、AI向けデータセンターを巡る競争も激しくなっている。KDDIは1月、堺市にあるSharpの液晶パネル工場跡地で大規模AIデータセンターの運用を始めた。同じ敷地ではSoftBankもAI専用データセンターを建設しており、年内の稼働を見込む。
こうした中、NTTはグループとしてのインフラ規模と運用力を強みに掲げる。シマダ社長は「NTTグループがボリュームの面ではより大きい」と述べ、保守・運用能力や通信網を含む総合力をアピールした。
国内のデータセンター競争は、単なるサーバー増設にとどまらず、冷却技術やエネルギー効率、海底ケーブル接続、半導体産業の支援体制まで含めた総合力の競争へと広がっている。