ビットコインに短期的な下値固めの兆しが出ている。Coinbase Institutionalとオンチェーン分析企業Glassnodeは、主要暗号資産が短期安値を形成した後、2026年2Q後半に持ち直す可能性があるとみている。ただ、5月特有の変動性に加え、マクロ経済要因や中東情勢を巡る不透明感も強く、反発基調が定着するかはなお見通せない。
29日付のBeInCryptoによると、両社は2026年2Qのレポート「Charting Crypto」で、ビットコインなど主要暗号資産の底打ちシナリオに言及した。ビットコインの純未実現損益指標は恐怖局面を脱し、楽観局面へ転換。調査では、機関投資家の75%、個人投資家の71%がビットコインを割安とみている。
イーサリアムにも同様の傾向がみられる。3カ月未満の短期保有分は1Qに38%減少した一方、1年以上の長期保有分は1%増加した。短期的な投機需要が後退する半面、長期保有志向の投資家へのシフトが進んでいることを示す動きと受け止められている。
もっとも、市場では底打ちを確認するにはなお慎重な見方が多い。ベテラン投資家のウィリー・ウーは、投資家の取得コスト水準を7万9000ドル(約1185万円)近辺とした上で、今回の局面でビットコインがこれを上抜ける確率は約30%にとどまるとの見方を示した。足元では底値を試す動きが続いているが、条件はまだ整っておらず、今後3〜6週間が重要になるとしている。
ウィリー・ウーは、6万5000ドル(約975万円)を上回って維持できるかどうかが、今回の反発を本格的なトレンド転換につなげるうえでの基準線になるとも指摘した。市場ではこの水準が、単なる短期反発にとどまるのか、それとも相場の転換点となるのかを見極める重要な下値支持線として意識されている。
一方、暗号資産トレーダーのイバン・リリェクビストは、より慎重な立場をとる。弱気相場では、ビットコインが毎年5月に大きく下落する傾向があるとして、慎重な対応が必要だと警告した。実際、ビットコインは2018年5月に約19%、2022年5月に約16%下落している。ただ、一部の年には5月に大幅上昇した例もあった。
DeFiの研究者も、5月は急騰と急落のいずれも起こりやすい月であり、本質はボラティリティの高さにあると指摘した。「5月に売れ」という格言は絶対的な法則ではないが、冗談として片付けるべきでもないとして、過度なリスクテイクよりも選別的な対応が求められる局面だと述べた。
こうした中、Coinbaseは短期売買のポジション構築が極めて難しい局面だとみている。中東の対立激化やマクロ経済ショックの可能性が、依然として市場の最大の変数となっているためだ。中銀要因や地政学リスクによる新たなショックが生じれば、足元の下値形成シナリオが崩れる可能性もあるとしている。
今後3〜6週間は、ビットコイン相場の方向感を左右する分岐点となりそうだ。市場は6万5000ドルの支持維持と、7万9000ドルの取得コスト水準突破を同時に見極めようとしている。この局面を持ちこたえれば短期的な底打ち観測は強まる一方、支持線を割り込めば、5月特有の変動性への警戒が再び強まる可能性がある。