米連邦準備制度理事会(FRB)議長の交代観測を背景に、ビットコイン相場に警戒感が広がっている。市場では、ケビン・ウォーシュ氏の就任観測が暗号資産や株式などリスク資産の短期的な値動きを荒くするとの見方が出る一方、FRBのバランスシート拡大が流動性改善につながるとの期待も根強い。
Cointelegraphが29日(現地時間)に伝えたところによると、市場ではウォーシュ氏のFRB議長就任観測が、リスク資産全般の変動性を高める要因として意識されている。
暗号資産のトレーディングアカウント「CRYPTOWZRD」はX(旧Twitter)への投稿で、ビットコイン相場に6月にかけて新たな下押し圧力が生じる可能性があると指摘した。過去のFRB議長交代局面では、ビットコインが先行して調整した後に上昇基調へ移ったケースがあったとしている。
市場の焦点は、議長交代そのものよりも、その後の金融政策の方向性がなお見通しにくい点にある。ウォーシュ氏はジェローム・パウエル氏の後任候補として取り沙汰されているが、リスク資産に追い風となる政策を早期に打ち出すかどうかは不透明だ。
ドナルド・トランプ米大統領は先週のCNBCとのインタビューで、ウォーシュ氏が6月開催の連邦公開市場委員会(FOMC)で利下げに動かなければ失望するとの考えを示していた。
もっとも、市場ではパウエル氏が議長として臨む最後のFOMCで、政策金利が据え置かれる可能性を高く見ている。利下げは一般に暗号資産市場の支援材料と受け止められるが、パウエル氏はトランプ大統領から公然と圧力を受ける中でも、利下げを急がなかった。
こうした状況を受け、FRB議長交代は政策期待を改めて揺さぶる材料として注目を集めている。
一方で、市場には強気材料もある。FRBが年初以降、バランスシートを再び拡大し始めたことで、流動性環境がリスク資産にとって改善方向に向かうとの期待だ。
Bitcoin Opportunity Fundのジェームズ・ラビッシュ氏は、FRBがここ数カ月で約2000億ドル規模の米国債をバランスシートに積み増したと明らかにした。量的引き締め(QT)は事実上終了し、限定的ながら量的緩和(QE)に近い局面に入ったとの見方も示した。
ウォーシュ氏の政策スタンスを巡っては、市場の見方が分かれている。資産運用会社Creative Planningのチーフ市場ストラテジスト、チャーリー・ビレロ氏はYouTube動画で、ウォーシュ氏の立場には一貫性を欠く面があると指摘した。
ウォーシュ氏は利下げの必要性を訴える一方で、2021年から2022年にかけて、FRBが新型コロナウイルス禍後のインフレ急騰局面でも低金利を維持したことを強く批判してきたためだ。ビレロ氏は当時の政策を「致命的な政策ミス」と位置付け、自身もその見方に同意すると述べた。
また、ウォーシュ氏はバランスシート拡大にも批判的な立場を示してきた。市場が期待する2026年の上昇トレンドが実現するかどうかは、利下げの有無に加え、流動性供給のスタンスが維持されるかにも左右されるとの見方が出ている。
ビットコインとアルトコイン市場では、6月のFOMCと、新たなFRB議長による初の政策シグナルが今後の主要な変動要因として注視されそうだ。