チェコ中央銀行(CNB)のアレシ・ミフル総裁は30日、外貨準備の1%をビットコイン(BTC)に配分した場合、期待収益率は上昇し、ポートフォリオ全体のリスクはほぼ変わらないとする内部分析を公表した。ビットコインを準備資産の一部として活用する可能性に、改めて言及した格好だ。
ブロックチェーン専門メディアCoinPostによると、ミフル総裁は米ラスベガスで開かれた「Bitcoin 2026」で講演し、準備資産の分散という観点からビットコイン保有の必要性を改めて訴えた。
CNBは、準備資産にビットコインを限定的に組み入れることで、リスク・リターン特性を改善できるとみている。背景には、ビットコインが他の準備資産と長期的に低い相関しか持たないとの見方がある。
ミフル総裁は、ビットコインについて、ベンチャー投資に近い特性を持つ一方で流動性が高い資産だと説明し、準備資産の運用において分散効果が期待できると述べた。
CNBが管理する外貨準備は約1800億ドルで、チェコの国内総生産(GDP)の約44%に相当する。ミフル総裁は2022年の就任以降、準備資産ポートフォリオの多様化を進めてきた。
この間、株式の比率は15%から26%に引き上げ、金の比率もほぼゼロから6%まで拡大した。今回のビットコインに関する発言も、こうした資産配分見直しの延長線上にある。
CNBは2025年1月、ビットコインを準備資産として活用する案を初めて提示した。同年11月には、総額100万ドル(約1億5000万円)の試験ポートフォリオを通じて、初めてデジタル資産を購入した。
今回の発言は、今後約2年間の試験運用を踏まえてビットコインの組み入れ可否を判断するという、従来方針を改めて示したものとみられる。CNBはCoinbase株も保有しており、暗号資産関連企業への間接投資も進めている。
ミフル総裁は、ビットコイン価格が「ゼロ」になる可能性も認めた。その一方で、株式や債券にも価格下落リスクはあるとし、重要なのは特定資産への過度な集中を避けることだと説明した。
また、金融政策は保守的に運営する一方、資産運用では新たな選択肢を検討する姿勢を強調した。
こうした見解は、欧州中央銀行(ECB)の立場とは対照的だ。ECBはこれまで、ビットコインについて、準備資産として求められる流動性や安全性、安定性を欠くとの見方を示してきた。
The Blockによると、暗号資産ウォレット企業のTrezorの最高財務責任者(CFO)、ステファン・ウヘルリク氏は、「ミフル総裁は事実上、それとは逆の結果を示したようなものだ」と述べた。CNBの分析が、欧州の中央銀行に根強い従来の見方とは異なる論拠を示したという意味合いだ。
市場では、中央銀行や政府系ファンドが、かつての金のような分散投資手段としてビットコインを検討する可能性も取り沙汰されている。Standard Charteredも年初、こうした動きが起こり得ると指摘していた。
その意味で、チェコの事例は、中央銀行レベルで試験導入と検証が実際に進んでいる先例として注目を集めている。
今後の焦点は2つある。1つは、試験運用終了後にCNBがビットコインを正式な準備資産に組み入れるかどうか。もう1つは、今回の分析結果が他の中央銀行によるビットコイン保有の検討を促すかどうかだ。