写真=貯蓄銀行中央会

金融当局が「生産的金融」の拡大を軸に貯蓄銀行制度の見直しを進めるなか、業界に対し、首都圏偏在と不動産偏重から脱却する中長期の構造転換を急ぐべきだとの提言が出ている。

韓国金融研究院は30日までに公表した報告書「貯蓄銀行業界の中長期的発展に向けた提言」で、貯蓄銀行業界は資産規模を拡大してきた一方、首都圏への集中と不動産市況に左右されやすい収益構造が固定化していると分析した。

報告書によると、貯蓄銀行は2014年の構造調整後、資産と貸出の規模を急速に拡大した。2025年末時点の総資産は118兆ウォンと、2015年末比で168.8%増加。貸出残高も同期間に33兆5000億ウォンから88兆3000億ウォンへと163.6%増えた。

半面、成長過程で構造的な偏りも強まった。与信残高に占める首都圏向けの比率は66.1%で、首都圏のGRDP比率52.8%を上回る。地域間の不均衡が一段と広がっている格好だ。

企業向け融資では、不動産・建設業向けが44.1%を占めた。収益構造が景気変動の影響を受けやすい状態にあると報告書は指摘している。

政策庶民金融も一部大手に偏る傾向がみられる。保証付き融資残高が3000億ウォンを超える上位8社で全体の80.1%を占め、市場の集中が確認されたという。

こうした課題を踏まえ、金融委員会は2026年2月に「貯蓄銀行の健全発展方策」を公表した。業界を規模別に3段階(Tier)へ区分し、それぞれに応じた規制を適用するのが柱だ。

あわせて、不動産偏重の与信構成を見直し、中小・中堅企業や個人事業者向け融資の拡大を促す方針も打ち出した。非首都圏向け融資へのインセンティブ付与や、有価証券保有限度の調整、資本規制の区分適用を通じ、営業構造と健全性規制の枠組みを同時に見直す方向を示している。

もっとも、制度改編だけで構造転換が進むかは見通せない。報告書は、貯蓄銀行が企業の信用リスクを自ら見極める力を備えなければ、政策効果は限定的になりかねないと指摘した。

現行の資産健全性評価は延滞率などの事後指標に偏っており、貸出が不良化する前のリスクを十分に捉えにくいという。このため、将来の返済能力を基準にする事業性評価の枠組み「FLC(Forward Looking Criteria)」の導入が必要だと分析した。

研究委員のパク・ジュンテ氏は、特に小規模事業者や自営業者といった主力顧客層では財務情報が限られるため、金融機関が蓄積してきた定性的な情報まで反映できる評価手法が求められると述べた。

政策庶民金融との役割分担の整理も課題として挙げた。新型コロナウイルス禍以降、政策金融の役割が拡大するなかで、民間金融機関の立ち位置が狭まる可能性があるためだ。報告書は、政策商品利用者を民間金融の顧客へ移行させる「好循環」の構築が必要だとしている。

その方策として、誠実に返済を続ける債務者を自社顧客として取り込んだ実績に応じ、政策金融の配分に差を設ける案などを提示した。

報告書は、貯蓄銀行業界の持続可能性は単なる規制緩和や支援ではなく、信用評価力の向上や顧客基盤の拡大といった内部競争力をどこまで高められるかにかかっているとの見方を示した。

業界も大きな方向性には同意しつつ、現実的な制約は小さくないとみている。貯蓄銀行関係者は、庶民金融の役割を広げて顧客基盤を拡大する必要性には共感する一方、その前提として景気回復が欠かせないと説明した。

顧客を自力で開拓する過程では健全性リスクが高まる可能性があり、主力顧客層の信用力も景気動向に左右されやすいという。

さらに、不動産担保偏重から脱却するには信用貸付の拡大が避けられず、そのためには精緻な信用評価能力が不可欠だとした。そのうえで、中小規模の貯蓄銀行では人員やコストの制約から独自モデルの構築が容易ではないとして、中央会レベルでの標準的な信用評価モデルの整備が長期課題になるとの見方を示した。

キーワード

#貯蓄銀行 #金融委員会 #韓国金融研究院 #不動産融資 #首都圏偏在 #信用評価 #政策金融 #FLC
Copyright © DigitalToday. All rights reserved. Unauthorized reproduction and redistribution are prohibited.