写真=「Google for Korea 2026」で登壇したGoogle Koreaのユン・グ社長

Googleは4月29日、韓国企業との人工知能(AI)分野の協業を拡大する方針を明らかにした。製造業からプラットフォーム、メディア、教育、ロボティクスまで幅広い分野で自社AIの導入を広げ、韓国市場での事業基盤を一段と強化する。

Google Koreaのユン・グ社長は同日、ソウルのウェスティン朝鮮ホテルで開催した「Google for Korea 2026」で、「韓国のダイナミズムはGoogleと韓国企業のシナジーにつながっている」と述べ、「韓国の先導企業とともにAIエコシステムを築いていく」と語った。

Googleは、韓国市場を重視する理由としてAIの受容度と活用の積極性を挙げる。ユン氏は「韓国はアジア太平洋地域でGeminiの利用量の伸びが最も速い市場だ」と説明。「利用者の82%がAIが成長を後押しするパートナーと捉えている」と強調した。

まずは製造・ハードウェア分野で連携を広げる。Samsung ElectronicsとはAndroidエコシステム全般で協業しており、Googleのプラットフォームを活用した次世代デバイス開発を進めている。

具体的には、拡張現実(XR)向けOS「Android XR」を搭載する次世代ヘッドセット「Galaxy XR」を共同開発中だ。Samsung Electronics、Gentle Monsterとは、Android XRベースのAIグラスでも協業しており、デザインの初期段階から開発を進めているという。

IT・プラットフォーム分野では、Geminiの導入を後押しする。Kakaoとは、同社のAIサービスがAndroid端末上でスムーズに利用できるよう最適化を進めている。

最初の適用事例は、KakaoTalk内のAIサービス「Kanana in KakaoTalk」だ。LG U+のAIエージェント「ixiO」にもGeminiを搭載し、通話中のリアルタイム情報検索や要約など、通話AI機能の高度化を図る計画も示した。

Googleは同日、AIスキル強化の統合ブランド「AI Ollim」も正式発表した。ユン氏は「共に学び、成長するという意味を込めたAI Ollimを通じて、若者から企業、開発者、スタートアップまで幅広い層にAI人材育成プログラムを提供する」と説明した。

韓国の企業、学界、スタートアップの協業拠点となる「AIキャンパス」も年内に開設する方針だ。4月27日にGoogle DeepMindと科学技術情報通信部が発表した国家AIパートナーシップの一環と位置付ける。

Google DeepMindの本拠地である英国以外では初の拠点となる。ソウル大学やKAISTなど主要研究機関による生命科学、エネルギー、気候分野の研究に対し、AlphaFold、AlphaEvolve、AlphaGenomeの活用を支援する。

ロボットや教育分野にも展開

Googleは、フィジカルAI分野でも韓国の製造業との連携に期待を示した。Google DeepMindの最高経営責任者(CEO)であるデミス・ハサビス氏は、「韓国はチップからロボティクスまで製造分野で卓越しており、産業全般の厚みと、ソウル大学、KAISTのような優れた大学・研究機関を備えている」と述べ、「新たなAI時代の最前線に立つ条件を備えた国だ」と評価した。

代表例として挙げたのが、Hyundai Motor Groupの米ロボティクス子会社Boston Dynamicsとの協力だ。両社は年初の「CES 2026」で戦略的パートナーシップを正式化した。

Boston Dynamicsのヒューマノイドロボット「Atlas」に、Googleのロボット特化型AIモデル「Gemini Robotics」を搭載し、次世代ヒューマノイドの開発を進める。2028年にHyundai Motorの米国工場へ投入することを目標としている。

Googleは同日、最新モデル「Gemini Robotics 1.6」も公開し、Boston Dynamicsの四足歩行ロボット「Spot」に搭載したデモ動画を披露した。Google DeepMindでロボティクス担当シニアディレクターを務めるカロリナ・パラダ氏は、「フィジカルAIの新しい時代が始まっている」としたうえで、「ロボットが形や大きさに関係なく人間と自然に相互作用し、現実の課題を解決する時代だ」と述べた。

さらに、「大企業から中小企業まで、韓国の産業エコシステムとのパートナーシップを通じて、ロボティクスの可能性を共に再定義している」と語った。

教育分野では、オンライン語学教育企業YBMnetと提携し、Gemini内でTOEIC模擬試験サービスを同日始めた。Google DeepMindのシニアエンジニアリングディレクター、チェ・ヒョンジョン氏は「教育は世界で最も難しい課題の1つである一方、最も価値のある領域でもある」とし、「すべての学習者にとって、一人ひとりの理解度や学習ペースに応じたパーソナルチューターになることを目指す」と述べた。

あわせて、教育学の専門家と共同開発した教育特化AIモデル「LearnLM」も紹介した。正答を示すだけでなく、学習者が自ら答えにたどり着けるよう支援する、過程重視の能動的な学習体験を目指すという。

非公開会合でAX戦略も共有

Googleは公式イベントに先立ち、非公開の企業懇談会「2026 Leaders AI Roundtable」も開催した。Google DeepMindからはカリム・アユブ副社長らが出席した。

韓国側では、SK Telecomのチョン・ソックン最高技術責任者(CTO)、Kakaoのキム・セウンAIシナジー副社長、CJ ENMのユン・サンヒョン代表、CJ Olive Youngのイ・ジニ プラットフォーム事業総括、GS Retailのホ・ソホン代表らが参加した。

会合では、アユブ氏の冒頭発言に続き、パートナー戦略を巡る議論が交わされた。アユブ氏は、AIモデルを効率的に活用するには、データ基盤とモデル運用能力を強化すべき局面に入っていると強調したとされる。

Wrtn AXのパク・ミンジュン代表は、「モデルはどうせ良くなり続け、3カ月もすればほぼ別世界になる。企業はモデルを差し替えられる構造を作り、ハーネスエンジニアリングに集中すべきという話だった」と振り返った。

CJ ENMはGoogleとAIコンテンツ制作で協業している。Googleの動画生成モデル「Veo」や画像生成モデル「Imagen」などのマルチモーダルモデルを活用して制作したAI長編映画「Apartment(仮題)」を、翌日に報道陣へ初公開するとした。

流通分野ではAIトランスフォーメーション(AX)が主要テーマとなった。CJ Olive Youngの関係者は、「Google Cloudの統合AIプラットフォーム『Gemini Enterprise』を導入し、企業AXを進めている」と明らかにした。

GS Retailのホ・ソホン代表は、「限られた予算の中でさまざまなデジタル転換を進める必要があり、AIトランスフォーメーション戦略について質問した」と述べ、「データを含め複数の領域を見ているが、現在進めている業務をどう効率化できるかに関心がある」と話した。

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