Samsung Electronicsは4月29日、空気熱源ヒートポンプ式の「EHSヒートポンプボイラー」を韓国で発売した。ガスボイラーの代替需要の取り込みを狙う。投入電力に対して5倍超の熱エネルギーを供給できるとし、マイナス25度の低温環境でも稼働するほか、マイナス15度でも最大70度の温水を安定供給できるとしている。
同社は同日、空気熱源ヒートポンプ技術に関する説明会を開き、EHSヒートポンプボイラーの性能や韓国市場での普及戦略を説明した。韓国政府が今月から、済州、全羅南道、慶尚南道など主要自治体を対象にヒートポンプボイラー支援事業を始めたことを受け、同社は製品投入とサービスインフラ整備を通じて、電化需要の取り込みを進める方針だ。
EHSヒートポンプボイラーは、空気中の熱を水に伝えるAir to Water(A2W)方式を採用した。外気から取り込んだ熱をコンプレッサーで高温水に変換し、床配管に循環させることで暖房と給湯を行う。
Samsung Electronicsは、オンドル式床暖房が一般的な韓国の住宅事情に適した構造だと説明する。既存のボイラー設備との互換性も高く、大規模な設備改修なしで切り替えやすいという。製品は、屋外で加熱した水を屋内に供給する「モノタイプ」として発売した。
床暖房で主に使う出水温35度条件での季節性能係数(SCOP)は4.9、出水温55度条件では3.78とした。高効率冷媒噴射方式の「フラッシュインジェクション」と高効率圧縮技術を採用し、厳冬期のマイナス15度環境でも最大70度の温水を安定供給できるとしている。
Samsung Electronics DA事業部エアソリューションチームのソン・ビョンハ グループ長は、「ヒートポンプは電化転換とカーボンニュートラルに向けた中核ソリューションだ。検証済みの技術力とグローバル研究インフラを基に、韓国の消費者に安定した暖房性能と高いエネルギー効率を提供できるよう、継続的に革新を進める」と述べた。
環境性能も訴求する。Samsung Electronicsによると、二酸化炭素排出量はガスボイラーに比べて約60%低い。冷媒には、R410Aより地球温暖化係数(GWP)が68%低いR32を採用した。熱交換器表面には、耐食性を高める「デュラフィン・ウルトラ」コーティングを施した。
◆投入電力比で5倍超の熱効率、静音性と接続性も強化
静音性と使い勝手も高めた。低騒音運転時の騒音水準は最大35dB。ソン・ビョンハ氏は、図書館よりやや大きい程度の水準で、住宅街でも設置しやすいと説明した。7インチのディスプレイコントローラーで曜日別のスケジュール設定が可能なほか、SmartThingsアプリと連携すれば、外出先から室温の確認や遠隔操作にも対応する。
太陽光発電システムと連携した場合は、発電量、消費量、温水の貯湯量をSmartThingsアプリで一元管理できる。最大8台を接続するカスケード構成では、128kW級の大容量暖房に対応し、多世帯住宅や小規模商業施設での利用も見込む。
同社は、京畿道・楊平の実証世帯でヒートポンプボイラーに切り替えた結果、暖房費が約53%減少したとのデータも示した。北米、欧州、日本など20以上の地域でヒートポンプ研究所とテストラボを運営しており、スウェーデン王立工科大学(KTH)、ルレオ工科大学(LTU)、高麗大学と産学連携を進めている。
また、集合住宅への適用に向けては、Samsung C&Tと共同で高層住宅環境に最適化したソリューションを研究中だと明らかにした。政府の補助制度では、購入・設置費の最大70%を支援する水準で、2035年までに支援対象を350万台に拡大する方針だ。