BitMEX共同創業者で、現在はMaelstromの最高投資責任者(CIO)を務めるアーサー・ヘイズ氏が、ビットコインは年末までに12万5000ドルに達する可能性があるとの見方を示した。米国の信用供給拡大や国防費の増加、米国債需要を支える政策対応が相場の追い風になるとみている。
The Crypto Basicが28日に報じたところによると、ヘイズ氏はイベント「Bitcoin Vegas 2026」で年末のビットコイン目標価格として12万5000ドルを提示した。足元の価格が7万6600ドル前後であることを踏まえると、到達には約63%の上昇が必要になる。
同氏がまず挙げたのは、米金融機関の貸出余力拡大だ。4月1日に施行された補完的レバレッジ比率規制の変更により、JPモルガン・チェースやCitigroupなど大手行の規制負担が軽減されたと説明した。S&P Globalは、この調整によって約1兆3000億ドル規模の新たな貸出余力が生まれる可能性があると試算している。
ヘイズ氏は、こうした資金が追加融資につながれば、信用創造の規模は4兆ドル近くまで膨らむ可能性があると主張した。この流動性が、AIブームの過程で強まった信用収縮圧力を相殺し得るという。
同氏はAIを「新たなサブプライム」に例え、労働代替を通じてテック企業の売上を圧迫してきた要因だと指摘した。
第2の根拠として示したのが、市場の関心がAI起因のデフレから戦時インフレへ移りつつある点だ。ヘイズ氏は、2月の戦闘開始以降、ビットコインがNasdaqやSaaS関連株、金・銀といった資産を上回る動きを見せていると述べた。
また、米国とイランの衝突激化を受けて各国政府が国防費を積み増しており、米国の国防費は1兆5000億ドルに近づくとの見通しも示した。ヘイズ氏は「米国はより多くのマネーを供給し、より多くの爆弾を買う」と述べ、こうした環境がビットコインを押し上げる可能性があるとした。
第3の論点として挙げたのが、米国債需要を維持する仕組みだ。ヘイズ氏は、次期米連邦準備制度理事会(FRB)議長に指名されたケビン・ウォーシュ氏と、スコット・ベッセント財務長官の体制下でも、市場流動性が急減することはないとの見方を示した。米国の国家債務が38兆ドルを超えるなか、当局には国債需要を安定的に支える必要があるためだという。
そのうえで、銀行が準備金を米国債やレポに振り向ける構造的な調整が進む可能性があると説明した。FRBのバランスシートが縮小しているように見えても、市場全体では資金循環の効果は維持されるとの見方を示している。
海外勢の米国債需要が伸び悩んでいるため、今後は米国内の機関投資家がより多くの発行分を吸収する必要があり、その過程で信用拡大は避けられないとの認識も示した。
ヘイズ氏は、信用拡大、財政支出の増加、政策面での下支えが同時に進む局面が、ビットコイン上昇の土台になると判断している。短期的な変動は続く可能性があるものの、構造的には年末に12万5000ドルを目指す条件が整いつつあると述べた。