ビットコインは7万9000ドル台の回復に苦戦しているが、8万ドル近辺には約14億ドル規模のショートポジションが積み上がっている。相場が8万ドルを明確に回復すれば、ショートの清算が膨らみ、ショートスクイーズにつながる可能性がある。
Cointelegraphが28日(現地時間)に報じたところによると、直近48時間でこの価格帯周辺にレバレッジをかけたショートポジションが大量に積み上がった。ビットコインが8万ドルを上抜ければ、これらのポジションに対する強制清算圧力が一気に高まる可能性がある。
ビットコインはこの1週間、7万6000ドル台を維持し、年初来安値の6万500ドルからは大きく切り返した。足元の上昇は、国際原油高と米株高が進む局面で広がったが、先物市場の指標からは短期的な上昇が失速しかねない兆候も出ている。
実際、相場は7万9500ドル付近で上値を抑えられ、この水準では弱気ポジションの積み増しが進んだ。
もっとも、デリバティブ市場では弱気心理が行き過ぎているとの見方もある。ビットコイン無期限先物のファンディングレートを年率換算すると、直近2週間の大半でマイナス圏に沈んだ。これは一般に、市場参加者の弱気姿勢が強まっていることを示す。
それでも価格は9日に7万2000ドルから7万8000ドルまで上昇しており、7万6700ドル近辺で積み上がったショートの多くはすでに含み損の状態にある。このため、8万ドルを超えれば、ショートカバーを急ぐ動きが広がる可能性が指摘されている。
米金融政策を巡る見方の変化も相場の材料だ。市場データからは、投資家がFedによる追加利上げをほぼ織り込まなくなっていることがうかがえる。ブレント原油は1バレル100ドルを回復し、インフレ懸念は再び強まっているが、Fedは雇用市場の減速と景気成長の鈍化にも目を配っているという。
米国債先物市場では、9月までの利下げ確率が20%織り込まれている。1カ月前と比べると、市場心理は大きく変化した。
債券利回りの相対的な魅力の低下も、資金がビットコインに向かう背景として意識されている。米5年債利回りの3.95%は、以前ほど魅力的な水準と受け止められておらず、固定利回り資産の期待収益性が低下するとの見方が広がっている。利下げはインフレ圧力を高める可能性があり、ビットコインなどデジタル資産への選好を後押しするとの見方もある。
現物市場の資金流入も底堅い。Strategyは20日から26日にかけて、ビットコインを追加で2億5500万ドル購入した。米上場のビットコイン現物ETFには8億2400万ドルの純流入があった。
ビットコインが7万9000ドルを繰り返し上抜けられていないにもかかわらず、現物の買いが続いている点は注目される。
オプション市場でも下値警戒は根強い。Deribitベースのビットコイン・オプションの30日物デルタスキューは、プットがコールに対して11%高いプレミアムで取引されている。大口投資家やマーケットメーカーが下方向のリスクをより強く意識していることを示す。
ただ、見方を変えれば、ビットコインが短期間で8万ドルを回復した場合、足元で積み上がった弱気ポジションが逆に相場上昇の燃料になる可能性もある。
短期的な方向感は、現物需要がどこまで持ちこたえるかに左右される。ビットコインはなお7万9000ドルの抵抗線を明確に超えられていないが、現物買いが続き、Fedの政策スタンスが一段と引き締め方向から後退すれば、ショートへの圧力は強まりやすい。
その場合、ショートの買い戻しを伴う上昇が、8万ドルの上抜けにつながる可能性がある。