焦点はSpaceXの上場そのものより、超大型テックIPOが暗号資産市場と重なるリスクマネーをどこまで動かすかにある。写真=Shutterstock

SpaceXの超大型新規株式公開(IPO)観測が強まるなか、暗号資産市場の資金動向にも影響が及ぶ可能性が浮上している。SpaceXに加え、OpenAIやAnthropicの上場が相次げば、株式と暗号資産にまたがってきたリスクマネーの配分が変わるとの見方が出ている。

ブロックチェーンメディアのCoinDeskが24日(現地時間)に報じた。複数の超大型テック企業が年内に上場すれば、株式市場が大量の資金を吸収し、ビットコイン(BTC)やイーサリアム(ETH)など暗号資産の流動性にも波及する可能性があるという。

SpaceXは今月初め、米証券取引委員会(SEC)に非公開でS-1を提出した。調達目標は750億ドル、企業価値は1兆7500億ドルと推定されている。

計画通り6月に上場すれば、Saudi Aramcoが2019年に実施した290億ドルのIPOを大きく上回り、過去最大規模となる見通しだ。

予測市場Polymarketでは、6月上場の可能性を65%とみる向きが多い。上場初日の終値ベースで時価総額が2兆ドルを超える確率は53%とされている。

注目銘柄はSpaceXだけではない。ChatGPT開発元のOpenAIは、企業価値1兆ドル前後で第4四半期の上場を目指している。Anthropicも10月の上場準備を進めており、600億ドル超を調達するとの観測が出ている。

3社が予定通り上場した場合、6月から年末までに最大2400億ドル超の資金が株式市場に吸収される可能性がある。PitchBookによると、これは2000年以降の米国における、ベンチャー投資を受けた企業のIPO調達総額を上回る水準だ。

市場では、こうした大型IPOが暗号資産市場にも直接影響し得るとの見方が広がっている。直近の相場サイクルでは、ビットコインやイーサリアムなど主要な暗号資産は、NASDAQに代表されるテック株と高い相関を示してきた。

IPOへの応募を見据えて投機資金が動けば、本来は暗号資産に向かっていた資金の一部が株式市場へ流れる可能性があるという。

とりわけ焦点となるのは個人投資家の資金移動だ。SpaceXの公募株の約30%は個人向けに配分される予定で、その規模は約220億ドルに達する。一般的なIPOの約3倍にあたり、個人マネーが大きく移れば、ミームコインやアルトコインへの需要が短期的に細る可能性がある。

過去の事例として再び注目されているのがCoinbaseだ。2021年4月の上場当日、ビットコインは約6万4800ドルで過去最高値を付けた後、6週間で約50%下落した。当時も、大型イベントが相場の天井シグナルになったとの解釈があった。

今回の上場は、暗号資産と直接つながる側面もある。SpaceXは約8285BTC(約6億ドル)を保有しており、公正価値評価の会計処理のもとで、上場後は大企業としては比較的珍しくビットコイン保有が財務に反映される事例になる見通しだ。

短期的な注目点は、5〜6月のロードショー期間に移る。市場はこの間、暗号資産が持ちこたえるのか、それともSpaceXのIPOに向けた資金再配分が進み、相場が弱含むのかを見極めることになりそうだ。

一方で、ロードショー期間中もビットコインが上昇基調を維持すれば、現物ETF経由の買いが、より広範なリスク資産の資金フローから切り離されつつあるサインと受け止められる可能性もある。

もっとも、今回の動きを単純に過去の再現とみることはできない。Coinbaseの上場が単発のイベントだったのに対し、SpaceXを含む今回の流れは、数カ月にわたる超大型の資金吸収局面になり得るためだ。市場がこれをどう消化するかは、今後数週間の価格推移が示すことになる。

キーワード

#SpaceX #OpenAI #Anthropic #IPO #暗号資産 #ビットコイン #イーサリアム #SEC #Polymarket #Coinbase
Copyright © DigitalToday. All rights reserved. Unauthorized reproduction and redistribution are prohibited.