ドナルド・トランプ米大統領は25日、フロリダ州パームビーチのマールアラーゴで開かれた非公開会合で、暗号資産関連の立法を妨げているとして銀行業界を批判し、市場構造法案の推進を改めて打ち出した。
CoinDeskによると、トランプ氏は会合で、デジタル資産市場明確性法案を巡る銀行ロビーの反対に対抗する考えを示した。ホワイトハウスの暗号資産政策チームが進めてきた方針を踏襲し、業界の重要課題とされる市場構造法案の成立が銀行業界に阻まれないようにする考えを強調したという。
会合には、ミームコイン「Official Trump(TRUMP)」の上位保有者数百人が招かれた。ここ数カ月の米議会では、ステーブルコインの報酬プログラムが既存の預金基盤を脅かしかねないとの銀行側の懸念が争点となってきた。一部の上院議員もこうした主張に同調し、新たな暗号資産規制の枠組みを巡る上院での議論は足踏みしていた。
もっとも、足元の議会協議では法案審議が再び前進する余地も残る。トランプ氏がこの問題を優先課題と位置付けていることも、今回の発言で改めて確認された。
トランプ氏は会合で、米国が暗号資産分野の主導権を握っているとも主張した。「我々は暗号資産のリーダーだ。いまや主流になった」と述べ、親暗号資産の立場を前面に押し出した。
出席者にも注目が集まった。Tetherの最高経営責任者(CEO)パオロ・アルドイノ氏、Ark Investのキャシー・ウッド氏、Anchorage DigitalのCEOネイサン・マカリー氏のほか、元プロボクサーのマイク・タイソン氏も参加した。会合は「世界で最も限られた参加者によるカンファレンス」と銘打たれ、金融を軸とする非公開イベントとして運営された。
一方で、トランプ氏の暗号資産事業と政策運営を巡る利益相反の問題は引き続き論点となっている。トランプ氏は自身の名を冠した暗号資産事業を支援し続けており、こうした個人的な利害関係は、デジタル資産市場明確性法案を巡る議論でも争点の一つとして指摘されてきた。
民主党の交渉担当者は、大統領を含む高位公職者が業界から利益を得ることを防ぐべきだと求めている。
昨年、トランプ氏がミームコイン投資家向けイベントに出席した際にも反発が広がった。民主党は、政策目標が自身の事業上の利益につながる構図だとして「政府腐敗の一例」と批判したほか、匿名の海外事業家と非公開で面会した点も問題視した。事実上、対価を支払うことで大統領への接近機会を得たとの批判も出ていた。
今回の会合では、暗号資産に加え、イラン、ベネズエラ、北大西洋条約機構(NATO)にも言及した。報道によると、NATOを「張り子の虎」と呼び、「我々のために存在しているわけではない」と述べたという。
ただ、会合の主眼は、暗号資産の立法と市場構造の見直しを推進する意思をトランプ氏が直接示した点にあった。今後の焦点は、米議会での法案協議が銀行業界の反発と利益相反を巡る批判をどう乗り越えるかに移る。