Succinct Labsは、写真や動画の撮影時に暗号署名を付与するiPhone向けカメラアプリ「ZCAM」を公開した。生成AIによる画像・動画の拡散が広がるなか、撮影端末に結び付いた改ざん防止記録を残し、コンテンツの真正性を利用者が独自に検証できるようにする狙いだ。
The Blockによると、ZCAMは撮影時に署名を行い、そのコンテンツを記録した端末にひも付く改ざん防止の記録を生成する。これにより、画像や動画が実際に端末で撮影されたものか、デジタル生成や改変を受けたものではないかを確認できるとしている。
同社は、既存の商用AI検知ツールには限界があるとみて、ZCAMでは別のアプローチを採った。事後的に真偽を判定するのではなく、スマートフォンのハードウェアを使って固有の暗号署名を生成する仕組みを採用した。
iPhoneで写真や動画を撮影すると、ZCAMはその撮影データに基づいて暗号ハッシュを生成するという。
同社は、デロイトの金融サービス部門の研究を引用し、生成AIに起因する米国の詐欺被害額が2023年の123億ドル(約1兆8450億円)から、2027年には400億ドル(約6兆円)に拡大する可能性があるとの見方を示した。
偽物を見分けるより、本物であることを証明する発想に軸足を置いた取り組みといえる。一方で、専用のカメラアプリの継続利用がどこまで広がるかは不透明だ。Succinct Labsは、企業や報道関係者による活用を想定しているとしている。
Succinct Labsは、ゼロ知識証明のインフラも手掛ける。2024年にはParadigm主導で5500万ドル(約82億5000万円)を調達した。
2025年8月には、「Succinct Prover Network」のメインネットと独自トークン「PROVE」を立ち上げた。Succinct Prover NetworkはEthereumベースの分散型市場で、アプリケーションがゼロ知識証明のリクエストを送ると、独立した検証者がこれを処理する仕組みだという。