トロン創業者ジャスティン・サン氏(写真=Reve AI)

トロン(TRON)創業者のジャスティン・サン氏は23日、ステーブルコインについて、すでに世界の送金・決済を支える基盤インフラとして定着しているとの見方を示した。課題は技術そのものではなく、実際の利用拡大に政策対応が追いついていない点にあると主張している。

ブロックチェーンメディアのBeInCryptoによると、サン氏は暗号資産インフラと既存の金融システムの間に残る溝について、もはや技術的な問題ではなく、規制や政策対応の遅れだと指摘した。

こうした主張を裏付ける材料として、トロン上でのステーブルコイン流通規模がある。現在、トロンでは約860億ドル相当のステーブルコインが流通しており、このうち97%超をTetherのUSDTが占める。DeFiLlamaのデータでも、足元の流通残高は過去最高圏にある。

送金規模も大きい。トロンは2025年通年で約7兆9000億ドル規模のUSDT送金を処理した。Messariの集計では、2026年1〜3月期だけでも約2兆ドル相当の取引が上積みされたという。単一ネットワークとしては、グローバルな決済網に匹敵する処理量との見方も出ている。

少額送金での存在感も強い。2025年7〜9月期時点では、1000ドル未満の世界のUSDT送金の約65%をトロンが占めた。個人間送金だけでなく、越境資金移動や機関需要も取り込み、実運用に耐える決済インフラとして機能しているとの分析がある。

一方で、米国の制度整備は後手に回っているとの指摘もある。米議会と規制当局は、ステーブルコイン規制を盛り込む「GENIUS法案(GENIUS Act)」を軸に法整備を進めている。同法案では、発行体に1対1の準備資産保有や登録を義務付けるほか、一定規模以上の発行体を連邦準備制度理事会(Fed)の監督対象とする内容が盛り込まれている。連邦預金保険公社(FDIC)も、ステーブルコインを銀行商品に組み込む規則案を示した。

サン氏は、こうした規制対応の遅れをむしろ機会と捉えている。「ステーブルコインはすでに世界の価値移転における基本レールになった。残る課題は、政策が実際の利用スピードに追いつくことだ」と強調し、トロンはすでにその規模で稼働していると訴えた。

もっとも、今回の発言は進行中の法的紛争と重なることから、市場の関心も集めている。サン氏はWorld Liberty Financial(WLFI)に対し、詐欺や不当利得などを主張する連邦訴訟を起こしている。争点は約29億個規模のトークン凍結を巡る問題だという。

市場では今後、米国の制度整備が実需の拡大ペースにどこまで追随できるかが焦点となる。トロンは、特に米国外のドル建てステーブルコイン利用者にとって、即時に使えるインフラを掲げる。今後数四半期は、ネットワーク上の決済規模拡大と米規制の制度化が、どのような速度で歩み寄るかが注目されそうだ。

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