企業でAIエージェントの本格導入が進む中、社内で増え続けるエージェントをどう管理するかが新たな課題になっている。こうした中、Amazon Web Services(AWS)とGoogle Cloudは、それぞれ異なる管理モデルを打ち出している。
米VentureBeatによると、Google Cloudはシステムレイヤーでの一元管理を重視する。一方、AWSは実行レイヤーでエージェントの役割や利用するモデル、呼び出すツールをあらかじめ定義し、その範囲内で動作させる方式を採る。
AWSが前面に出すのは導入スピードだ。開発者がエージェントの役割、モデル、ツールを定義すれば、Amazon Bedrock AgentCoreが残りの処理を担う。エージェントをゼロから作り込むのではなく、設定ベースで動かせるため、PoCから本番展開までの時間を短縮しやすい構成だとVentureBeatは伝えている。
AWSは先に、Amazon Bedrock AgentCoreを更新し、「Managed Agent Harness」機能を追加した。従来は、AIエージェントを本番環境にデプロイする際、コンピュートリソースや認証プロトコル、永続ストレージ、コード実行用サンドボックスといった基盤を開発者が個別に設定する必要があり、作業に数日かかるケースもあった。
これに対し、Managed Agent Harnessはこうした作業を設定ファイル中心に簡素化し、数分で完了できるようにする。
一方のGoogle Cloudは、Gemini Enterpriseを通じ、複数のエージェントを一元管理できる集中型の制御基盤の提供を重視している。どのユーザーがどのエージェントを利用できるか、どのルールに従うべきか、エージェントが現在どのように稼働しているかを中央で監督できるようにする構想だ。
この考え方は、Kubernetesが多数のワークロードを一元管理するのに近いとしている。
企業内のエージェント数が少なく、機能も単純だった段階では、管理が大きな問題になることは少なかった。ただ、エージェントが数日間にわたって自律的に稼働し、メール送信やデータ更新、決済処理まで担うようになると、事情は変わる。
長時間稼働するエージェントでは、時間の経過とともに古い情報を基に判断したり、相互に矛盾する結果を受け取って混乱したりする「状態ドリフト」が起こり得る。こうした問題が広がればAIに対する信頼は揺らぐため、迅速な構築だけでなく、継続的な管理とガバナンスの重要性も増している。