米暗号資産業界の120超の団体が23日、上院銀行委員会に共同書簡を送り、デジタル資産を巡る市場構造法案の早期審議と法制化を求めた。主な要請の一つとして、CLARITY法案の前進も促している。
ブロックチェーンメディアのCryptopolitanによると、書簡の取りまとめはBlockchain AssociationとCrypto Council for Innovationが主導した。業界側は、デジタル資産政策が「重大な転換点」にあると位置付け、超党派の議論を実際の立法につなげるよう訴えた。対応が遅れれば、米国が世界的な競争で後れを取る可能性があるとも警鐘を鳴らした。
書簡は、ティム・スコット氏、エリザベス・ウォーレン氏、シンシア・ルーミス氏ら主要議員にも送付された。
最大の争点として挙げられているのは、規制当局の管轄整理だ。業界側は、米証券取引委員会(SEC)と米商品先物取引委員会(CFTC)の役割分担が依然として不明確だとみている。両機関は一部の基準を示しているものの、行政対応だけでは限界があり、企業や開発者、取引プラットフォームを取り巻く不透明感を解消するには、法律による明確な線引きが必要だと主張した。
業界関係者も、立法の必要性を相次いで訴えた。Crypto Council for Innovationの最高経営責任者(CEO)、ジ・キム氏は「グローバル標準を巡る競争において、米国のリーダーシップは重要だ。今こそ行動すべき時だ」と述べた。Blockchain Associationの最高政策責任者(CPO)、リンジー・フレイザー氏も「目標は、持続可能な超党派の枠組みを構築することだ」とし、議会での立法から大統領署名までを見据えた体制整備の必要性を強調した。
市場参加者からは、規制の空白が事業環境の悪化を招いているとの声も上がる。XYOの共同創業者、マルクス・レヴィン氏は、市場構造を巡る法整備はすでに出遅れているとの見方を示し、明確な基準が整えば、開発者は実用的なサービス開発により集中できると語った。
提案には管轄問題のほか、ステーブルコインの報酬設計の保護、分散型システム開発者に対する過度な規制の抑制、州ごとに異なる規制負担を軽減するための連邦基準の整備なども盛り込まれた。業界側は、企業が各州のルールに個別対応を迫られる現状の見直しを求めている。
税制も論点に浮上している。Krakenによると、2025年時点で提出された暗号資産向け税務書類「1099-DA」は5600万件を超えた。このうち多くが少額取引で、1ドル未満の取引が約33%、50ドル未満が74%を占めたという。現行制度では暗号資産が資産として扱われるため、ステーキング報酬や少額決済まで課税対象となっており、制度見直しを求める声が出ている。
今回の要請の主眼は、単なる規制緩和ではなく、法制化による基準の明確化にある。上院銀行委員会が実際に法案審議に踏み込むか、CLARITY法案が超党派の支持を確保できるかが、今後の米デジタル資産政策の焦点となる。