銀相場が4月に入って金を上回る上昇率を記録し、貴金属市場では銀優位を意識した見方が広がっている。金銀比率やETFオプション市場の動向、チャート分析では銀に追い風となるシグナルが点灯している一方、金は中央銀行の買い需要が下値を支える構図だ。
ブロックチェーン系メディアのBeInCryptoが22日(現地時間)に報じたところによると、銀は4月に15.47%上昇し、金の上昇率である6%を大きく上回った。ブレント原油が1バレル99ドルを下回るなか、市場では金銀比率、オプションポジション、チャート構造のいずれも銀に有利な材料として意識されているという。
まず注目されるのが金銀比率だ。3月末以降、同指標はインバース・カップ・アンド・ハンドルを形成しており、足元ではハンドル下限のトレンドライン近辺まで低下している。58を下回れば比率はさらに16%縮小し、銀の相対優位が一段と強まる可能性がある。反対に68を回復すれば、物色の流れが再び金に向かう余地もある。
需給を映す指標も銀に追い風だ。銀の工業需要を反映する「ソーラー・ラグ・モデル」は、2025年末以降で初めてゼロラインを上回った。前回、昨年11月末に同水準を上抜けた際には、その後数週間にわたって銀相場が上昇したという。
一方、金については、10年物実質金利の動きと比較する指標が今月初めの2.685から直近では0.308まで低下した。これは、金に上乗せされていた通貨プレミアムが弱まっているシグナルと受け止められている。
もっとも、金にも下値を支える材料はある。分析会社The Kobeissi Letterが引用したデータによれば、中央銀行の金保有量は約3万8666トンと、これまでに採掘された金の総量の約17%に相当する。中央銀行による需要は、金価格を一段と押し上げる要因というより、下落局面での支えとして機能しているとみられる。
デリバティブ市場でも銀優位の傾向が見られる。代表的な銀の現物ETFである「SLV」のプット・コール取引量比率は、3月26日の0.77から4月21日には0.49へ低下した。一般に1を下回る場合、プットよりコールが多いことを示す。建玉ベースの比率も同期間に0.60から0.56へ低下しており、投資家が銀高を見込む姿勢を強めていることをうかがわせる。
これに対し、金の現物ETF「GLD」では、強気姿勢への明確なシフトは確認されていない。取引量ベースのプット・コール比率は1.35から0.87へ低下し、弱気から中立ないしやや強気へと改善したが、建玉ベースの比率は0.53から0.54とほぼ横ばいだった。金に対する下値ヘッジ需要は後退したものの、銀ほど明確な強気ポジションは積み上がっていないことを示している。
チャート面でも両者の差が表れている。銀価格は日足でインバース・ヘッド・アンド・ショルダーを形成しており、ヘッドは60ドル近辺、ネックラインは80ドル近辺に位置する。とりわけ右肩形成局面では買い出来高が売り出来高をやや上回り、強気確認のシグナルが出たとされる。
80~83ドルを明確に上抜ければ、およそ43%の上昇余地が開け、目標値はおおむね115ドルになるという。さらに上値余地として133ドルも意識される。一方で、75ドルを下回ると形状は弱まり、69ドルを割り込めばパターン無効の可能性が高まる。60ドルを下回れば、強気シナリオは崩れる。
金も同様のパターンを形成しているが、確認の強さでは銀に劣る。ネックラインは4848ドル近辺で、これを上抜ければ約24%の上昇余地が生じ、1オンス当たり5934ドルを試す展開も想定される。ただ、右肩形成局面では売り出来高が買い出来高を上回り、銀とは逆のシグナルとなった。上値余地も銀の半分程度にとどまる。
足元では、出来高の裏付け、オプション市場の動き、想定上昇余地のいずれを見ても、銀が金を上回るとの分析が優勢だ。ただ、金には中央銀行の買いという下支え要因が残る。銀が80ドル台を明確に突破すれば優位性は一段と鮮明になりそうだが、この水準で上値を抑えられたうえで75ドルを割り込めば、市場の関心が再び金へ戻る可能性もある。