S&P500でAI関連銘柄の存在感が急速に高まっている。時価総額ベースの構成比は約45%に迫り、少数の超大型テックに相場が左右されやすい構図が鮮明になってきた。市場では、指数の分散効果の低下に加え、AI投資が鈍化した際のバリュエーション見直しや変動率の上昇を懸念する声が出ている。
米ブロックチェーンメディアのCryptopolitanが22日(現地時間)に報じたところによると、データセンター、半導体、電力関連を含むAI関連銘柄は、すでにS&P500全体の40%超を占めている。
相場上昇をけん引してきたのは、NVIDIAを筆頭とする超大型テックとAIインフラ投資の拡大だ。3月30日時点の指数構成比はNVIDIAが7%で首位となり、Appleの6.3%、Microsoftの4.6%、Amazonの3.7%を上回った。AI相場を主導する上位5社の合計比率は約30%に達し、過去50年でみても高い集中度となった。
AI関連の上位20銘柄の比率も、指数全体の半分に近づいた。水準としては2000年のドットコムバブル期のピークを上回る。年初以降は、資金がAIインフラや半導体に集中する一方、サイバーセキュリティや業務用ソフトウェアは相対的に出遅れる動きが目立った。
こうした集中の進行に伴い、市場構造上のリスクも意識されている。一部の大型AI銘柄が調整局面に入った場合、他の多数の構成銘柄では吸収し切れず、指数全体に下押し圧力が及ぶ可能性があるためだ。市場では、S&P500の値動きが事実上、超大型テック連動型になっているとの見方も出ている。
AI投資の拡大は、企業収益の構造にも大きな影響を与え始めている。Goldman Sachsは、2026年のAIインフラ投資がS&P500全体の利益増加分の約40%を占めると試算した。データセンター建設やAI関連の設備投資はすでに無視できない規模に達しており、2026年末には米国内総生産(GDP)の約2%に達する見通しだとしている。
超大型テックによる積極投資も、市場構造の変化を加速させている。AlphabetやMicrosoftなどのハイパースケーラーによるAI支出は急増しており、Amazon、Alphabet、Meta、Microsoftの4社による今年のAIインフラ投資は、最大7000億ドルに達する見通しだ。前年に比べ50〜60%増の水準となる。
株価パフォーマンスの格差も鮮明だ。2022年のChatGPT公開以降、AI関連企業の株価上昇率は約200%に達した一方、それ以外の数百社の平均上昇率は30%未満にとどまった。AI投資サイクルが鈍化すれば、市場全体のバリュエーション見直しにつながりかねないとの見方が出る背景には、こうした格差がある。
問題は、分散投資の効果が薄れている点にある。資本財、エネルギー、テクノロジーの各セクターがデータセンターやAIインフラ投資と連動し、ポートフォリオの分散が効きにくくなっているとの分析がある。このため、小さな悪材料でも指数の変動率が高まりやすいとの懸念は強い。
投資戦略の見直しも課題になっている。Morgan StanleyとGoldman Sachsは、単純なテック株エクスポージャーではなく、価格決定力を持つAI導入企業に加え、製造やエネルギーなど実物インフラに関連する銘柄にも目を向ける必要があると分析した。
実際、恩恵を受ける業種の裾野は広がっている。GE Vernova、Seagate Technology、Palantir Technologies、Super Micro Computerが初期の恩恵銘柄として挙げられるほか、直近ではLumentum、Vertiv Holdings、Coherentなど、物理的なAIインフラ構築を担う企業にも関心が広がっている。
市場の次の焦点は、巨額のAI投資が実際に売上高と利益の拡大に結び付くかどうかだ。AIが株高の中核エンジンとなるなか、期待を上回る業績でそれを裏付けられるかが、今後の相場の方向性を左右するとみられている。