韓国のIT・通信業界では、社名やサービス名にAIを冠するリブランディングが広がっている。写真=Shutterstock

韓国のIT・通信業界で、AIを前面に打ち出したリブランディングが加速している。社名やサービス名にAIを冠し、企業イメージを再定義する動きが広がる一方、実際の技術力を伴わないままAIを掲げれば、市場の信頼を損ないかねないとの懸念も出ている。

◆社名変更広がる、業界団体も追随

象徴的なのが社名変更だ。2022年末のChatGPT登場を契機に、2023年以降続く生成AIブームを背景に、社名そのものを見直す動きが相次いでいる。

SK C&Cは2025年5月、社名を「SK AX」に変更した。10年以内にグローバル上位10社のAX企業を目指す方針を掲げている。エデュテック企業のRiiidも2025年9月に「SokraAI」へ改称し、AI時代の新たな教育パラダイムを切り開くとした。セキュリティー企業のFasooは先月、「Fasoo AI」へ社名を変更し、データセキュリティー企業からAXセキュリティー支援企業への転換を打ち出した。

業界団体にも同様の流れが広がっている。韓国ソフトウェア産業協会は2025年6月、韓国人工知能・ソフトウェア産業協会(KOSA)へ名称を変更した。今月17日には韓国ソフトウェアテスティング協会が「韓国人工知能・ソフトウェアテスティング協会」に改称し、AI分野まで含む役割拡大を強調した。

業界内では、AIを前面に出すブランド戦略が事実上の標準になりつつあるとの見方も出ている。この流れは製品・サービス分野にも急速に広がっている。TmaxSoftは「Continuum AI」を前面に掲げ、従来のミドルウェア企業のイメージから脱却し、AIプラットフォーム企業への転換を狙う。Hancomも上期中に、複数のAIエージェントを接続・調整する「AIオーケストレーター」プラットフォームを投入する方針を示すなど、AI中心の事業転換を急いでいる。

通信業界でも、従来のネットワーク技術の枠を超え、AI企業への転換を打ち出す動きが鮮明になっている。KTはパク・ユニョン代表の就任後、「AXプラットフォーム企業」を掲げ、B2B中心のAI転換戦略を強化した。SK Telecomは「AIフルスタック」戦略を通じて、インフラからモデル、サービスまでを含むバリューチェーンの構築を進めている。LG Uplusも、アンビエントAIとフィジカルAIを将来の成長領域に位置付けた。

◆AI競争過熱、「名前先行」のリスクも

AIを前面に出すリブランディング競争は、単なるマーケティングを超えた生存戦略と受け止められている。生成AIの拡大によって産業全体のバリューチェーンが再編される中、AI企業として認識されなければ市場評価で不利になりかねないためだ。

セジョン大学経営学部のキム・デジョン教授は「AIが経済と産業を主導する現実の中で、多くの企業がAIを軸にブランディングするのは自然な流れだ」と指摘する。その上で「特に上場企業では、AIとの接点を強調することで株式市場で高い評価を得ようとする思惑も一部にあるように見える」と述べた。

一方で、こうしたリブランディング熱を懸念する声も強まっている。AIを前面に掲げながら、実際の技術競争力が追い付いていないケースがあるとの指摘だ。市場では、今後1〜2年が選別局面になるとみられており、成果を示した企業とそうでない企業の差は時間とともに急速に広がる可能性が高いとの分析もある。

キム教授は「十分な技術力を備えないままAIだけを掲げれば、かえって信頼を失う恐れがある」とした上で、「名称に見合う実力を磨くことが最も重要だ」と強調した。

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