写真=ラフル・パタク氏(AWS副社長)

「2026年はAIエージェントの年になる。最大の差別化要因はデータだ」

AWS(Amazon Web Services)のデータ・AI部門を統括するラフル・パタク副社長は22日の記者懇談会で、AIエージェントを本格導入するうえで重要な要素として、「目標」「データ」「ガードレール」「速度」の4点を挙げた。顧客やパートナーとの1000回以上の対話を踏まえ、企業がパイロット段階にとどまらず、本番環境へ展開するための条件を整理した形だ。

パタク氏はまず、取り組むべき課題を明確にし、初期段階から本格運用を前提に設計する必要があると強調した。そのうえで、AI活用に適したデータ基盤を整備し、利活用を妨げない範囲で安全性を担保するガードレールを設けることが重要だと述べた。

成果創出のスピードも欠かせない要素に挙げた。数カ月単位ではなく、数週間で成果を示すべきだとし、市場変化の速い環境では立ち上がりが遅れれば競争上の不利につながるとの見方を示した。

導入事例として、Accenture、1CloudHub、Capgeminiも紹介した。これらのパートナーはAmazon BedrockとAmazon Bedrock AgentCoreを基盤にエージェンティックAIプラットフォームを構築し、金融、ヘルスケア、製造、保険分野で生産性を50〜85%高め、投資対効果(ROI)は4倍に達したという。

パタク氏は、AWSがAIエージェントを支える幅広いプラットフォームを備えていると説明し、その中核となる「AWSエージェンティックAIスタック」を紹介した。インフラ層にはTrainiumとGPU、データ層にはAmazon S3データレイク、Amazon Redshift、AWS Glue、AWS Lake Formationを配置する。

その上位層では、Amazon SageMakerが独自の機械学習モデルの学習、デプロイ、MLOpsを支援する。Amazon Bedrockは基盤モデル、ファインチューニング、検索拡張生成(RAG)、ナレッジベースを提供し、Amazon Bedrock AgentCoreがオーケストレーション、メモリ、ガードレール、ツール活用を担うとした。

また、AWSがAI分野への投資を積極化しており、Anthropic、OpenAI、NVIDIA、Cerebrasとの統合を深めていることにも言及した。BedrockではOpenAIとの統合や新たなフロンティアモデルへの対応を進めており、AnthropicのClaude Opus 4.7もBedrock経由で提供すると説明した。

同氏は、今後のワークフローは単一モデル、単一ツールではなく、多様なモデルとツールを前提に構成されると強調した。「1つのモデルに1つのエージェントを組み合わせる時代は終わった」と述べ、マルチツール基盤のパイプラインへの実装が広がっているとの認識を示した。

同日の懇談会では、AWS Koreaの2026年パートナー戦略も共有した。AWSによると、重点施策は、パートナーのカバレッジ拡大と協業深化、マーケットプレイス成長の加速、業種特化型パートナー戦略の強化の3点に集約される。

AWS Koreaでパートナー部門を統括するパン・ヒラン氏は、クラウド基盤そのものでは差別化しにくくなったAI時代において、業界ドメインの専門性とAIの実装力を組み合わせることで、パートナーと顧客の双方の成長を加速させる狙いだと述べた。

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