イーサリアムの先物市場で未決済建玉がこの1週間で20億ドル減少し、デリバティブ市場のレバレッジ縮小が鮮明になっている。資金調達率はマイナス圏に沈み、先物市場では弱気ムードが強まる一方、現物市場では大口投資家の買い増しやステーキング需要が続いている。
21日付のCryptopolitanによると、イーサリアム価格は2300ドル台を維持したものの、未決済建玉は124億ドルまで縮小した。取引活動の鈍化に加え、上昇の勢いも弱まっていることを示す動きとみられている。
オンチェーン分析企業CoinGlassの集計でも、イーサリアムの未決済建玉は減少基調が続いた。Coinalyzeのデータでは資金調達率がマイナス圏に入り、未決済建玉全体の34%をショートポジションが占めた。特にBinanceでは資金調達率の低下が目立ち、市場参加者の見方が弱気に傾いていることがうかがえる。
市場は価格急落そのものよりも、まずレバレッジ縮小に反応している格好だ。イーサリアムの恐怖・強欲指数は53と中立圏にあり、トレーダーの間では積極的に方向感へ賭けるというより、新規参入のタイミングを見極めようとする様子見姿勢が強いとみられる。
今回のデレバレッジは、過去30日で2度目の大きな縮小局面とされる。CryptoQuantのアナリスト、アムル・タハは、イーサリアムがこの30日間で2度目の投げ売りに近い局面を迎えたと分析した。3月にもデリバティブ市場では未決済建玉が20億ドル減少しており、清算規模は過去の極端な変動局面ほどではなかったものの、投資家心理の弱さが続いている点は共通していると指摘した。
取引所別では、BinanceとGateでポジション整理が集中した。なかでもGateの縮小幅は大きく、イーサリアムの未決済建玉は4月14日時点の46億7000万ドルから、直近では28億8000万ドルへ減少した。レバレッジ解消の大半がこの1週間に進んだ形だ。
こうした動きには、Kelp DAOのハッキングも一部影響した可能性がある。流出資金の一部はすでにミキシングされており、最大2億1000万ドル相当のイーサリアムが潜在的な売り圧力になり得るとの懸念が浮上した。デリバティブ市場の参加者がこの不確実性を織り込み、エクスポージャーを圧縮した可能性がある。
オンチェーンでは、大口投資家の動きも確認された。一部の大口投資家は、イーサリアムが2300ドルを上回って横ばい圏で推移する局面でデリバティブのポジションを整理し、利益を確定したという。イーサリアムの未決済建玉は2025年10月10日以降、明確な回復基調を示せておらず、投資家の間では急騰を待つよりも一定の利益が確保できる水準で手仕舞う動きが広がっているとされる。
Hyperliquidでも同様の構図がみられた。イーサリアムの無期限先物の未決済建玉は約4億3500万ドル規模で、上位2つの大口投資家がそれぞれ2万ETHのロングとショートを保有し、拮抗している。ショート側の大口投資家は800万ドル超の含み損に加え、7万6000ドルの資金調達コストを抱える一方、ロング側は37万6000ドル超の含み益を計上している。
一方、現物市場では逆方向の動きが続いている。イーサリアムはパッシブ・ステーキング需要とDeFiでの担保需要を引き続き支えている。直近30日ではDeFiへの資金流入は鈍化し、一部で流出もみられたが、イーサリアムは依然として貸し出しや分散型取引所(DEX)取引の中核ネットワークに位置付けられている。Beacon Chainのコントラクトでは、長期ステーキング向けに預け入れ待ちとなっている数量も270万ETHを超えた。
CryptoQuantの集計では、構造的に買い増しを続けるウォレット群が足元で最も活発な買い手として浮上している。現在、2430以上のウォレットが現物市場でイーサリアムを買い増しているという。現物の買いは先物の方向性取引を置き換えるものではないが、イーサリアムをユーティリティ資産として評価する長期資金の信認が維持されていることを示すシグナルといえそうだ。
市場構造をみると、個人投資家がおおむね保有を減らす一方、大口投資家は小幅な含み益を保ちながら保有を維持している。10万ETH超を保有する投資家もなお利益圏にあり、相場の下値を支える可能性が指摘されている。今後のイーサリアム相場は、デリバティブ市場へのレバレッジ資金の再流入に加え、DeFi活動やオンチェーン需要がどの程度持ち直すかに左右されそうだ。